bis (tributyltin) oxideによる汗腺毒性に関する実験的研究

有機スズ化合物であるbis (tributyltin) oxide 0.5ml/Kgをウィスターラットに筋注し, 後脚のパッド部の汗腺の形態学的変化を, 電子顕微鏡的に調べた. 注射6時間後よりミトコンドリアに変性像が認められはじめ, 12時間後には空胞状のミトコンドリアが多数認められた. 16から20時間後には胞体内に大きな空胞を有する細胞や, 水腫状変性を示し細胞間の陥合構造を失った細胞が認められた. これらの細胞は, 恐らく水輸送の障害によって水腫状となったものと思われた. 20時間目以後より移行部に比較的細胞質小器官の乏しい明澄細胞が増えはじめた. 24から48時間後, 分泌部には内腔...

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Hauptverfasser: 山元修, 西尾大介, 藤本淳, 吉塚光明
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:有機スズ化合物であるbis (tributyltin) oxide 0.5ml/Kgをウィスターラットに筋注し, 後脚のパッド部の汗腺の形態学的変化を, 電子顕微鏡的に調べた. 注射6時間後よりミトコンドリアに変性像が認められはじめ, 12時間後には空胞状のミトコンドリアが多数認められた. 16から20時間後には胞体内に大きな空胞を有する細胞や, 水腫状変性を示し細胞間の陥合構造を失った細胞が認められた. これらの細胞は, 恐らく水輸送の障害によって水腫状となったものと思われた. 20時間目以後より移行部に比較的細胞質小器官の乏しい明澄細胞が増えはじめた. 24から48時間後, 分泌部には内腔側に濃縮変性した暗調細胞が, また暗調細胞と筋上皮細胞との間に割って入るように移行部で見られたのと類似した明澄細胞が認められた. 暗調細胞は恐らく元々分泌部に存在しスズによるダメージを受けた, 機能的には廃絶しつつある細胞と思われた. 電顕的X線マイクロアナライザーにて変性しつつあるミトコンドリアに一致してスズのピークが認められた.
ISSN:0387-821X