圧力負荷によるメサンギウム細胞増殖に成長因子は関与するのか？―血小板由来増殖因子と線維芽細胞増殖因子に関する検討

〈背景および目的〉慢性腎不全の進展において, 腎糸球体高血圧の関与が明らかにされている. メサンギウム細胞(MC)は, 糸球体高血圧状態において少なくとも伸展刺激と圧力負荷を受けていると考えられる. 既に我々は, 圧力負荷によりMCは増加し, それは少なくともプロテインキナーゼC及びチロシンキナーゼを介していることを報告した(第31回米国腎臓学会第41回日本腎臓学会). 腎炎の発症のみならず腎不全の進展に於いても, 血小板由来増殖因子(PDGF)や線維芽細胞増殖因子(bFGF)などのサイトカインの関与が報告されている. しかしながら, 圧力負荷によるMC増殖に於けるPDGFやbFGFの関与の有焦にっいては検討されてない. 今回, 圧力負荷によるメサンギウム細胞増殖におけるPDGFやbFGFの関与について検討した. 〈方法〉開発済の圧力負荷装置を用い, 培養ラットMC(5～9継代)に圧力負荷を加え以下の検討を行う. 1, 圧力負荷によるMCにおけるPDGF-A, PDGF-B及びbFGFのmRNA発現の検討(RT-PCR法) 2, 圧力負荷による細胞内DNA合成に及ぼすPDGF及びbFGFの中和抗体の効果(チミジン取り込みを測定)〈結果〉1, PDGF-BのmRNA発現は3時間後より増加し6時間でピークを認めたが, その後減弱し24時間で基礎値に戻った.