13. ヒトオリゴデンドログリアKG-1C細胞に発現しているアドレノメデュリン受容体の性質

アドレノメデュリン(AM)は, 近年発見された降圧性ペプチドで, cAMPの上昇を介して細胞反応を引き起こすことが知られている. AMは, 副腎をはじめ肺, 腎臓, 血管系に分布しているが, 最近脳にもその存在が示唆されている. しかし脳の大部分を占めるグリア細胞におけるAMの存在はよくわかっていない. 一方AM受容体は, 大動脈, 肺, 腎などの血管平滑筋に存在していることが報告されている. 私達は以前AM受容体が脳にも存在することを報告したが, 脳神経細胞, グリア細胞あるいは脳微小血管のいずれに存在するのかは不明である. 今回私達はヒトグリオーマ由来オリゴデンドログリアKG-1C細胞を用...

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Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:JOURNAL OF UOEH 1996-03, Vol.18 (1), p.98-98
Hauptverfasser: 高瀬郁夫, 高田志保, 木部裕子, 大石陽介, 筬島明彦, 上田陽子, 上園保仁, 泉太
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:アドレノメデュリン(AM)は, 近年発見された降圧性ペプチドで, cAMPの上昇を介して細胞反応を引き起こすことが知られている. AMは, 副腎をはじめ肺, 腎臓, 血管系に分布しているが, 最近脳にもその存在が示唆されている. しかし脳の大部分を占めるグリア細胞におけるAMの存在はよくわかっていない. 一方AM受容体は, 大動脈, 肺, 腎などの血管平滑筋に存在していることが報告されている. 私達は以前AM受容体が脳にも存在することを報告したが, 脳神経細胞, グリア細胞あるいは脳微小血管のいずれに存在するのかは不明である. 今回私達はヒトグリオーマ由来オリゴデンドログリアKG-1C細胞を用いて, 1)AMの存在を抗AM抗体を用いた免疫組織染色法により検討し, 2)AM感受性受容体の存在をcAMPアッセイにより検討した. さらに構造類似ペプチドCGRP並びにAmylinについても, AMの作用と比較検討した. [結果] 1)KG-1C細胞は抗AM抗体で染色された. 2)AM, CGRPならびにAmylinは時間, および濃度依存性にcAMP産生を増加させた. その作用の強さは, CGRP>AM>>Amylinの順であった. これらペプチドの作用は, 程度の差はあるもののすべてCGRP受容体アンタゴニストCGRP[8-37], AM受容体アンタゴニストhAM[22-52], およびAmylin受容体アンタゴニストAmylin[8-37]により完全にあるいはその一部が抑制された. その作用の強さは, CGRP[8-37]>>hAM[22-52]>Amylin[8-37]の順であった. [考察] KG-1C細胞にはAM感受性受容体が存在することが明らかとなった. それぞれの特異的アンタゴニストがCGRP, AM, AmylinによるcAMP産生すべてに影響したことから, 各受容体は一部オーバーラップしていることが推測された. 免疫染色でAM-immunoreactivityが認められたことから, AMはグリア細胞において, オートクリン/パラクリンとして作用していることが考えられた.
ISSN:0387-821X