アメリカにおける患者,住民への医学情報サービス

I. アメリカの医療システムと最近の医療を取り巻く環境 1997年, 8月5日, クリントン大統領は2002年度の赤字解消を目指す「Balanced Budget Act of 1997(財政均衡計画)」にサインをした. 98年度を初年度とする5カ年計画で歳出削減と減税を同時に実施することによって, 財政再建を図ろうというものである. 歳出では, 5年間で高齢者医療保険制度(メディケア)を1,150億ドル, 低所得者向け医療保険制度(メディケイド)を250億ドル削減することが盛られている. この計画は, 特にメディケアの3,900万人の受領者のみならず, 保険会社, 医師, 病院にも多くの経済的打撃を与え, アメリカの医療システムを大きく変化させるものと受け止あられている1). その一方で, アメリカ政府が今後目指すゴールとして, アメリカ国民の「健康向上」, 「健康状態の不均衡の是正」, 「予防医学サービス利用の拡大」を掲げ, 各個人がまず自分の健康に責任を持つことが, これらのゴールを達成する上で重要なこととしている2).