感染制御を目的とした病院内の細菌学的環境調査
「緒言」医療の進歩に伴って, 高齢者, がん患者や移植患者のような易感染性患者が増加している. それゆえ, メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA), バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)や多剤耐性緑膿菌のような薬剤の乱用によって生み出されてきた薬剤耐性菌ばかりでなく, Serratia, Burkholderia, Stenotrophomonas, Citrobacter, AcinetobacterやEnterobacterなどの通常の病院環境に生息する細菌も主要な院内感染・日和見感染の原因菌になっている1-3). 院内感染の感染経路は, 主に保菌者, 医療従事者や環境との接触によると考え...
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Veröffentlicht in: | 医療薬学 2008, Vol.34(5), pp.441-447 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 「緒言」医療の進歩に伴って, 高齢者, がん患者や移植患者のような易感染性患者が増加している. それゆえ, メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA), バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)や多剤耐性緑膿菌のような薬剤の乱用によって生み出されてきた薬剤耐性菌ばかりでなく, Serratia, Burkholderia, Stenotrophomonas, Citrobacter, AcinetobacterやEnterobacterなどの通常の病院環境に生息する細菌も主要な院内感染・日和見感染の原因菌になっている1-3). 院内感染の感染経路は, 主に保菌者, 医療従事者や環境との接触によると考えられている. なかでも, 環境を起因とする感染はその検出・立証が難しく, 環境は感染リスクとして認識されにくい. また, Centers for Disease Control and Prevention(以下, CDCと略す)の医療施設における環境感染管理のガイドラインには「空気, 水, 環境表面の無作為でかつ目的の不明瞭な微生物学的な試料採取は必要ない」ことが勧告されている4). そのため, 環境が感染リスクとなりえず, 細菌学的環境調査は必要がないように認識されている. しかし, CDCの同ガイドラインには「疫学調査の一部として, あるいは危機的環境状況下での汚染の検出あるいは減少を確認するためには微生物学的な試料採取は必要である」ことがあわせて勧告されている4). 実際, 環境表面や空気から病原体が分離されている5-8). そのため, 院内の一部の環境は重要な感染源であり, 感染経路の一つとして考えられる. |
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ISSN: | 1346-342X 1882-1499 |
DOI: | 10.5649/jjphcs.34.441 |