院内製剤における点眼剤の外観類似による医療事故対策: “誤使用防止マーク”に対する患者の評価

「緒言」水虫薬,点耳薬,うがい薬,下剤,化粧品,文房具,コンタクトレンズ洗浄液などの容器が点眼容器に類似するために誤って点眼してしまう,いわゆる誤使用が問題となっている.また,点眼薬を使用している患者は,眼疾患または使用している点眼薬の作用の影響により認知困難となり,取り間違える可能性も考えられる.特に水虫薬の誤使用は深刻であり,平成16年厚生労働省は,製薬企業に対し「医療用点眼剤及び医療用点眼剤に類似した容器の外用液剤の取扱について」薬食発0602009号を発令し,点眼剤およびこれに類似した外用液剤の容器に記載すべき事項を規定した.さらに厚生労働省「眼科用剤ワーキンググループ」1)では,点眼容器を他薬容器の外観と明らかに異なるよう排他性を持たせることを検討している.著者らは,以前より院内製剤の容器・表示を安全管理の視点から検討してきた2).点眼容器に類似する薬剤の誤使用対策として,点鼻薬の容器は点眼容器から噴霧容器に変更した.しかし,点耳薬の容器に関しては院内製剤に使用できる容器が限られているため,点眼容器の外観と明らかに区別できるものへの変更は困難であった.そこで,点眼,点耳,点鼻薬の“誤使用防止マーク”を作成しラベル表示し注意を喚起した(図1).また,, ラベル表示スペースが限られているため,冷所,遮光の保存方法もマーク表示に変更した.今回,これらの取り組みを患者を対象としたアンケート調査により評価したので報告する.