薬剤性不整脈のリスクファクターに関する研究

「緒言」薬剤性不整脈は,その発症頻度は低いが,心電図のQT間隔延長(QT延長)によるQT延長症候群や,Torsades de Pointes(TdP)と呼ばれる多型性心室頻拍を引き起こし,失神や突然死を招く可能性のある重篤な副作用である1).薬剤性不整脈の発生機序や危険因子に関する分子レベルの研究はさかんに検討されている.特に,薬剤性不整脈とイオンチャネル遺伝子異常との関連性が徐々に明らかとなってきている.Makitaら2)は,心筋カリウムチャネルや心筋ナトリウムチャネルの遺伝子異常が薬剤性不整脈の発症に関係していると報告している.しかし,大多数の薬剤性不整脈の原因は不明であり3),リスクを持...

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Veröffentlicht in:医療薬学 2007, Vol.33(10), pp.823-830
Hauptverfasser: 大中, 博晶, 大津, 史子, 矢野, 玲子, 金田, 典雄, 政田, 幹夫, 後藤, 伸之
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「緒言」薬剤性不整脈は,その発症頻度は低いが,心電図のQT間隔延長(QT延長)によるQT延長症候群や,Torsades de Pointes(TdP)と呼ばれる多型性心室頻拍を引き起こし,失神や突然死を招く可能性のある重篤な副作用である1).薬剤性不整脈の発生機序や危険因子に関する分子レベルの研究はさかんに検討されている.特に,薬剤性不整脈とイオンチャネル遺伝子異常との関連性が徐々に明らかとなってきている.Makitaら2)は,心筋カリウムチャネルや心筋ナトリウムチャネルの遺伝子異常が薬剤性不整脈の発症に関係していると報告している.しかし,大多数の薬剤性不整脈の原因は不明であり3),リスクを持つ患者を同定する有益な遺伝子診断は今のところ発見されていない.つまり,薬剤性不整脈は複雑なメカニズムによって発症し,遺伝子異常のみでリスク患者を同定することは難しいと考えられる.薬剤性不整脈は,早期に発見して,起因薬剤を中止し適切な処置を行うことが重要である.そのためには,起因薬剤の種類,さらには患者背景の研究が必要であると考えられる一しかし,薬剤性不整脈のような発症頻度の低い副作用では,比較対照群のある無作為化比較試験やコホート研究など,検証性の高い試験を行うことは難しい.このような副作用は母集団の大きなケース・コントロール研究を行うことが,リスクファクターを見いだす.
ISSN:1346-342X
1882-1499
DOI:10.5649/jjphcs.33.823