薬学部6年制に向けた病院実習への取り組み: 調剤部分に関するトライアル実習を踏まえて

「緒言」平成14年8月に「日本薬学会薬学教育モデル, コアカリキュラム, 薬学教育実務実習, 卒業実習カリキュラム」が発表された. 平成16年5月には, 学校教育法ならびに薬剤師法の一部が改正され, 平成18年4月からは薬学教育6年制が実施されることになった. 本カリキュラム上には, 約6ヵ月間の実務実習(事前実習5週間, 病院, 薬局各11週間)の実施が規定されている. また, 平成15年12月には文部科学省から実務実習モデル, コアカリキュラム(以下, コアカリと略す)とともに病院実習方略(以下, 方略と略す)および薬局実習方略が示された. これまでの4年制の学生については, 実習期間は4週間であり, 内容は病院側から学生に対し業務内容を体験させることが主であった. この6年制のカリキュラムにおいては従来の教員主体のカリキュラムから, 学習者主体のカリキュラムへの転換が謳われている1). そこで, 今回, われわれは薬学部6年制施行後の病院実習に向けて, この方略に従った実習実施に関する問題点および病院薬剤師としての課題を抽出し検討することを目的に全国に先駆けてトライアル実習を実施することとした. 実習期間の制約があるため, 方略の中の計数, 計量調剤(H103～H113)について岡山大学薬学部, 就実大学薬学部およびわれわれ病院薬剤部との協同で実施することとした. その中で発生した問題点やその対応について報告する.