生物学的利用能向上を目指したグリチルリチン直腸投与製剤に関する基礎的検討

慢性肝炎の治療薬の1つにグリチルリチン酸モノアンモニウム塩(GZ-NH4)製剤がある. GZ-NH4は甘草(Glycyrrhiza glabra L.)の主成分であり, グリチルレチン酸に2分子のグルクロン酸とエーテル結合した構造をもつ. 肝臓疾患用剤としてGZ-NH4の市販品の剤形には錠剤と注射剤があるが, 実質的に慢性肝炎に効果を示すのは注射剤のみである. この経口剤投与で効果が得られない理由として, GZ-NH4が腸管内においてβ-グルクロニダーゼの作用あるいは腸内細菌による作用でグリチルレチン酸に分解されることが報告された1~4). また, ラット大腸を用いたin vitro膜透過実験...

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Veröffentlicht in:医療薬学 2006/02/10, Vol.32(2), pp.154-163
Hauptverfasser: 古閑, 健二郎, 竹腰, 久美子, 鍛治, 聡, 畑, 友佳子, 小倉, 勤, 藤下, 修
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:慢性肝炎の治療薬の1つにグリチルリチン酸モノアンモニウム塩(GZ-NH4)製剤がある. GZ-NH4は甘草(Glycyrrhiza glabra L.)の主成分であり, グリチルレチン酸に2分子のグルクロン酸とエーテル結合した構造をもつ. 肝臓疾患用剤としてGZ-NH4の市販品の剤形には錠剤と注射剤があるが, 実質的に慢性肝炎に効果を示すのは注射剤のみである. この経口剤投与で効果が得られない理由として, GZ-NH4が腸管内においてβ-グルクロニダーゼの作用あるいは腸内細菌による作用でグリチルレチン酸に分解されることが報告された1~4). また, ラット大腸を用いたin vitro膜透過実験より, GZ-NH4のみかけの膜透過係数が0.1~0.7×10-6cm/secであることを以前に報告した5). この値は膜透過性の検討と消化管からの吸収性とを対比させた結果をもとに, 吸収しやすさの基準となった膜透過係数3×10-6cm/sec6)よりも低いことで, GZ-NH4の消化管からの高い吸収性は望めない.
ISSN:1346-342X
1882-1499
DOI:10.5649/jjphcs.32.154