唾液中バルプロ酸 (VPA) 濃度測定による在宅TDMの試み (1)

緒言 バルプロ酸(VPA)は, 抗けいれんスペクトルが広く各種てんかん発作型に使用されている. また, 2002年には躁病および躁うつ病の躁状態の治療に効能効果が追加され, 感情障害治療薬としても使用が拡大している. VPAは血漿中蛋白結合率が90%以上と高く, 有効血中濃度は40~120μg/mL, 約1000μg/mLでは結合が飽和する等の独特の薬物動態を示す1)ため, Therapeutic Drug Monitoring(TDM)が必要とされる. TDMは薬物血中濃度を測定することで実施されているが, 薬物の体内動態を考慮すると, 多くの薬物は唾液中に分泌されることがすでに報告されてい...

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Veröffentlicht in:医療薬学 2005/03/10, Vol.31(3), pp.217-222
Hauptverfasser: 斎藤, 百枝美, 江戸, 清人, 石川, 大道, 疋田, 雅之, 管, るみ子, 渡部, 学, 上島, 雅彦, 長井, 俊彦, 吉田, 浩, 丹羽, 真一
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:緒言 バルプロ酸(VPA)は, 抗けいれんスペクトルが広く各種てんかん発作型に使用されている. また, 2002年には躁病および躁うつ病の躁状態の治療に効能効果が追加され, 感情障害治療薬としても使用が拡大している. VPAは血漿中蛋白結合率が90%以上と高く, 有効血中濃度は40~120μg/mL, 約1000μg/mLでは結合が飽和する等の独特の薬物動態を示す1)ため, Therapeutic Drug Monitoring(TDM)が必要とされる. TDMは薬物血中濃度を測定することで実施されているが, 薬物の体内動態を考慮すると, 多くの薬物は唾液中に分泌されることがすでに報告されている2-4). 唾液は患者自身あるいは介護者により容易に採取できる利点がある. 現在, 高齢化社会を迎え, 医療の現場は病院等の施設から在宅への移行が進んでおり, 唾液採取によるTDMの実施が可能となると, 在宅患者に多くの恩恵をもたらすと考えられる. 今回著者らは, 唾液中VPA濃度を測定し, 血清総VPA濃度および血清遊離型VPA濃度との相関性を検討し, 臨床的に唾液試料によるTDMが有用であるか検討した.
ISSN:1346-342X
1882-1499
DOI:10.5649/jjphcs.31.217