社会が必要としている医薬品に関する使用実態調査 “疥癬の発生状況とその対応”
緒言 疥癬の集団発生が, 老人施設を中心に全国各地で繰り返されている. 特に, 重症型疥癬であるノルウェー疥癬は, 感染力が強く患者の隔離が必要とされ, 特に注意が必要な皮膚感染疾患とされている1). しかし, わが国では疥癬治療薬として承認されているものは硫黄剤であるチアントール軟膏のみで, その治療効果はまったく不十分であり, ほとんど使用されていないのが現状である. 適応外使用としてクロタミトンも使用されているが, 長期に渡って全身塗布しなければ効果が得られにくく, 介護者の労力負担が大きな問題となっている2). 米国, 英国, フランス, ドイツでは, 外用薬として安息香酸ベンジル製剤...
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Veröffentlicht in: | 医療薬学 2003/10/10, Vol.29(5), pp.665-670 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 緒言 疥癬の集団発生が, 老人施設を中心に全国各地で繰り返されている. 特に, 重症型疥癬であるノルウェー疥癬は, 感染力が強く患者の隔離が必要とされ, 特に注意が必要な皮膚感染疾患とされている1). しかし, わが国では疥癬治療薬として承認されているものは硫黄剤であるチアントール軟膏のみで, その治療効果はまったく不十分であり, ほとんど使用されていないのが現状である. 適応外使用としてクロタミトンも使用されているが, 長期に渡って全身塗布しなければ効果が得られにくく, 介護者の労力負担が大きな問題となっている2). 米国, 英国, フランス, ドイツでは, 外用薬として安息香酸ベンジル製剤, γ-BHC製剤, クロタミトン製剤, ペルメトリン製剤, 経口ではイベルメクチンのいずれかが疥癬の適応を持ち市販されている3). そこで, 院内製剤として安息香酸ベンジルや有機塩素系殺虫剤γ-BHCがやむをえず使用されているが, 全国的に疥癬治療薬の使用実態を調査した報告はなく現状は把握されていない. |
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ISSN: | 1346-342X 1882-1499 |
DOI: | 10.5649/jjphcs.29.665 |