鉄剤と各種制酸剤の相互作用の検討
「緒言」鉄欠乏性貧血は日常診療の場でしばしば遭遇する疾患である. 治療薬である経口鉄剤の投与によって胃腸障害が生じた場合, 制酸剤が併用されることがあるが, 鉄剤, 制酸剤ともに添付文書の相互作用(併用注意)の項に記載されている. これまで, 硫酸鉄においては制酸剤の投与により胃内pHが上昇し, 鉄の溶解性が低下することにより高分子鉄重合体(分子量100,000以上)が形成され, 消化管からの吸収が阻害されると報告されている1-3). しかし, 組み合わせる鉄剤と制酸剤の種類によっては相互作用が異なることが考えられ, ある種の鉄剤と制酸剤の併用は臨床上問題がないとの報告もある4). よってすべ...
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Veröffentlicht in: | 医療薬学 2002/12/10, Vol.28(6), pp.559-563 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 「緒言」鉄欠乏性貧血は日常診療の場でしばしば遭遇する疾患である. 治療薬である経口鉄剤の投与によって胃腸障害が生じた場合, 制酸剤が併用されることがあるが, 鉄剤, 制酸剤ともに添付文書の相互作用(併用注意)の項に記載されている. これまで, 硫酸鉄においては制酸剤の投与により胃内pHが上昇し, 鉄の溶解性が低下することにより高分子鉄重合体(分子量100,000以上)が形成され, 消化管からの吸収が阻害されると報告されている1-3). しかし, 組み合わせる鉄剤と制酸剤の種類によっては相互作用が異なることが考えられ, ある種の鉄剤と制酸剤の併用は臨床上問題がないとの報告もある4). よってすべての鉄剤と制酸剤を包括して同様あるいは同程度の相互作用として添付文書に記載することは現実的ではない. そこでわれわれは, 鉄剤として硫酸第一鉄(以下, FSと略す)と酸性から弱塩基性の広いpH域で低分子鉄(分子量10,000以下)として溶存する物性的特長をもつクエン酸第一鉄ナトリウム(以下, SFCと略す)5)を用い, 代表的な8種類の制酸剤による高分子鉄重合体形成に対する影響について, 限外ろ過膜を使用し鉄の回収率にて検討した. |
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ISSN: | 1346-342X 1882-1499 |
DOI: | 10.5649/jjphcs.28.559 |