漢方薬による間質性肺炎と肝障害に関する薬剤疫学的検討

「緒言」漢方薬は比較的副作用が少ない安全な薬剤として各種疾患に汎用されてきたが, 漢方薬による間質性肺炎や肝障害の報告が多数なされている. 間質性肺炎については, 1989年の築山らの小柴胡湯での報告1)以来, 副作用報告が相次ぎ, すでに二十数例の死亡例が確認されるに至っている. 間質性肺炎の原因薬剤として当初は小柴胡湯が主であったが, その後, 大柴胡湯, 半夏瀉心湯, 辛夷清肺湯, 柴胡桂枝乾姜湯などの漢方薬でも間質性肺炎が報告され, 1997年には厚生省医薬品安全性情報No.146でも注意が喚起された2). 一方, 漢方薬および生薬製剤による肝障害も多数報告されており, 1992年には...

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Veröffentlicht in:医療薬学 2002/10/10, Vol.28(5), pp.425-434
Hauptverfasser: 寺田, 真紀子, 北澤, 英徳, 川上, 純一, 足立, 伊佐雄
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:「緒言」漢方薬は比較的副作用が少ない安全な薬剤として各種疾患に汎用されてきたが, 漢方薬による間質性肺炎や肝障害の報告が多数なされている. 間質性肺炎については, 1989年の築山らの小柴胡湯での報告1)以来, 副作用報告が相次ぎ, すでに二十数例の死亡例が確認されるに至っている. 間質性肺炎の原因薬剤として当初は小柴胡湯が主であったが, その後, 大柴胡湯, 半夏瀉心湯, 辛夷清肺湯, 柴胡桂枝乾姜湯などの漢方薬でも間質性肺炎が報告され, 1997年には厚生省医薬品安全性情報No.146でも注意が喚起された2). 一方, 漢方薬および生薬製剤による肝障害も多数報告されており, 1992年には医薬品副作用情報No.117で注意が喚起された3). 近年は自然食品や健康食品に対する関心が高まり, 天然の植物などを原料とした生薬製剤などの使用も増加していることから, 天然物由来の漢方薬, 生薬製剤などによる副作用の発現には十分な配慮が必要である. われわれはすでに間質性肺炎の発症に黄苓が関与している可能性について指摘してきた4). 今回は肝障害にも調査対象を広め, 漢方薬および生薬製剤によると考えられる間質性肺炎および肝障害の既報症例を収集し, その原因と推定される漢方薬および生薬製剤の構成生薬についても系統的な解析を加え, 重篤な副作用を未然に防ぐための方法論を確立するとともに, その原因となる構成生薬を探索する目的で薬剤疫学的な検討を行った.
ISSN:1346-342X
1882-1499
DOI:10.5649/jjphcs.28.425