アルカリホスファターゼ測定試薬におけるJSCC 法とIFCC 法の関係性および乖離症例の調査

日本におけるアルカリホスファターゼ(ALP)活性測定法は日本臨床化学会勧告法(JSCC 法)が主流であったが, 2019 年に国際臨床化学連合勧告法(IFCC 法)への移行が日本臨床化学会より提唱され,当院も2021 年3 月よりIFCC 法に移行した.今回,JSCC 法とIFCC 法との回帰式から算出した値と±10% 以上の差を認める検体を乖離 症例として,その背景を調査した.乖離した76 例のうちALP アイソザイムを実施したのは61 例で,このうち54 例はJSCC 法でALP 5 型(小腸型)と反応性の高いABO 血液型であるB 型およびO 型であり,残り7 例はA 型であった.+10...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:天理医学紀要 2022/12/25, Vol.25(1), pp.82-83
Hauptverfasser: 田村, 早紀, 潮崎, 裕也, 松村, 充子, 倉村, 英二, 木下, 真紀, 嶋田, 昌司, 松尾, 収二, 上岡, 樹生
Format: Artikel
Sprache:jpn
Schlagworte:
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:日本におけるアルカリホスファターゼ(ALP)活性測定法は日本臨床化学会勧告法(JSCC 法)が主流であったが, 2019 年に国際臨床化学連合勧告法(IFCC 法)への移行が日本臨床化学会より提唱され,当院も2021 年3 月よりIFCC 法に移行した.今回,JSCC 法とIFCC 法との回帰式から算出した値と±10% 以上の差を認める検体を乖離 症例として,その背景を調査した.乖離した76 例のうちALP アイソザイムを実施したのは61 例で,このうち54 例はJSCC 法でALP 5 型(小腸型)と反応性の高いABO 血液型であるB 型およびO 型であり,残り7 例はA 型であった.+10% 以上乖離した3 例のうち,2 例は造血幹細胞移植後で移植前の血液型がB 型またはO 型であり, 1 例はIFCC 法の反応過程における副波長の経時的な増加がみられたIgM 高値症例で,原発性マクログロブリン血 症であった.一方,‒10% 以上乖離した4 例のうち,3 例は妊婦でALP 4 型(胎盤型)が優位であり,1 例はALP 2 型よりも陽極側に泳動される高分子型のALP を認めた. 今回の調査では,異常な濁りを生じるIgM 高値症例や高分子型のALP 症例においてJSCC 法との乖離が認めら れた.今後,臨床と合致しない場合の留意事項として留めておく必要があり,高分子型のALP については更なる検証が必要である.
ISSN:1344-1817
2187-2244
DOI:10.12936/tenrikiyo.25-014