肝動静脈奇形による肝性脳症発症によりオスラー病の診断となった高齢女性の 1 例

【症例】66 歳,女性 【主訴】変動する意識障害 【現病歴】20XX−3 年より進行するパーキンソニズムに対して抗パーキンソン薬を内服していた.20XX 年9 月末から意識障害と脱力発作を繰り返し近医に入院し,20XX 年11 月末に当院へ転院した. 【入院後経過】来院時JCS 200,四肢にジスキネジアを認めた.腱反射は上下肢ともに亢進・減弱なく,明らかな麻痺はなかった.入院後,意識の変動はありながらもJCS 10 程度まで改善を認めたが,入院5 日目に再度意識レベルが増悪した.脳波で三相波を認めたため代謝性脳症を疑い,血中アンモニアが141 μg/dL(基準値20–70 μg/ dL)であ...

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Veröffentlicht in:天理医学紀要 2022/12/25, Vol.25(1), pp.72-73
Hauptverfasser: 石川, 大樹, 高橋, 俊哉, 山口, 聡子, 本庄, 智香, 田口, 智朗, 新出, 明代, 末長, 敏彦
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:【症例】66 歳,女性 【主訴】変動する意識障害 【現病歴】20XX−3 年より進行するパーキンソニズムに対して抗パーキンソン薬を内服していた.20XX 年9 月末から意識障害と脱力発作を繰り返し近医に入院し,20XX 年11 月末に当院へ転院した. 【入院後経過】来院時JCS 200,四肢にジスキネジアを認めた.腱反射は上下肢ともに亢進・減弱なく,明らかな麻痺はなかった.入院後,意識の変動はありながらもJCS 10 程度まで改善を認めたが,入院5 日目に再度意識レベルが増悪した.脳波で三相波を認めたため代謝性脳症を疑い,血中アンモニアが141 μg/dL(基準値20–70 μg/ dL)であったことから肝性脳症として治療開始したところ,血中アンモニアの低下に伴いJCS 3 程度まで改善し た.頭部MRI では中心溝付近の皮質に沿ったT2WI/SWI 低信号があり,肝性脳症に矛盾しない所見であった.腹部造影CT で,肝動静脈短絡,肝門脈静脈短絡の多発と,左肺S6 の肺動静脈瘻,肺動脈の拡張を認め,頭部CT で左半卵円中心に海綿状血管奇形を認めた.幼少期からの繰り返す鼻出血の既往を確認し,家族歴はないことから probable オスラー病と診断した.入院9 日目に総胆管結石性胆管炎を発症し,入院14 日目に永眠された.遺伝子 検査は実施しなかった. 【考察】オスラー病を背景とした慢性的な肝内門脈静脈短絡によりパーキンソニズムを呈し,進行により肝性脳症を呈したと考えられた.急性に変動する意識障害に対し,代謝性脳症を鑑別に挙げ,早期のスクリーニング検査と適切な治療介入が必要と考えられた.
ISSN:1344-1817
2187-2244
DOI:10.12936/tenrikiyo.25-017