無染色尿沈渣鏡検法による尿中病原菌の推定とその検査性能の評価

発熱性尿路感染症は急速進行性の病態のため,速やかな診断・治療が求められる.原因微生物の推定には尿検体のグラム染色が一般的に推奨されるが,時間的・人員的制約,試料不足などの問題から,抗菌薬投与前の切迫した状況などでは,全例においてグラム染色を施行することは難しいことがある.我々は,グラム染色より簡便に尿中病原菌を推定する代替手段として,無染色尿沈渣の鏡検に着目した.本研究では,当院で2019 年12 月7 日から2020 年1 月9 日までの間に尿培養を実施した103 例を対象とし,尿培養から分離された有意菌(1 × 105 CFU/mL 以上)を参照基準として無染色尿沈渣検鏡法による尿中病原菌...

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Veröffentlicht in:天理医学紀要 2020/12/25, Vol.23(2), pp.79-85
Hauptverfasser: 中島, 光司, 杉本, 曉彦, 中西, 琴音, 明保, 洋之, 阿部, 教行
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:発熱性尿路感染症は急速進行性の病態のため,速やかな診断・治療が求められる.原因微生物の推定には尿検体のグラム染色が一般的に推奨されるが,時間的・人員的制約,試料不足などの問題から,抗菌薬投与前の切迫した状況などでは,全例においてグラム染色を施行することは難しいことがある.我々は,グラム染色より簡便に尿中病原菌を推定する代替手段として,無染色尿沈渣の鏡検に着目した.本研究では,当院で2019 年12 月7 日から2020 年1 月9 日までの間に尿培養を実施した103 例を対象とし,尿培養から分離された有意菌(1 × 105 CFU/mL 以上)を参照基準として無染色尿沈渣検鏡法による尿中病原菌推定の感度と特異度を後方視的に検討した.結果として,球菌では感度54.5% (95% 信頼区間23.4–83.3%),特異度95.7% ( 同89.2–98.8%),桿菌では感度93.8% ( 同79.2–99.2%),特異度88.7% ( 同79.0–95.0%) であった.無染色尿沈渣検鏡法による推定病原菌と,尿培養による有意菌が一致しなかった4 例のうち3 例は球菌を桿菌に見間違えていた.本研究は,無染色尿沈渣鏡検法による尿中病原菌の推定性能をヒトにおいて定量的に評価した初めての報告である.本法が外来診療のような時間的・人的資源が限られる状況では簡便かつ有用な検査法であることが示唆された.
ISSN:1344-1817
2187-2244
DOI:10.12936/tenrikiyo.23-014