内視鏡下でのアブミ骨筋反射閾値の検討

【背景】強大音から蝸牛を防御するアブミ骨筋反射(SR)は,音刺激が閾値を超えると両側の顔面神経核が刺激され両側性に生じる.検査としてはインピーダンスオージオメトリーによるレフレックス検査があるが,アブミ骨筋が収縮してアブミ骨の可動が耳小骨やMI joint を逆行に経由して鼓膜まで可動したものを間接的に検出しているにすぎない.そのため,真の閾値は測定できておらず,実際はさらに小さな音刺激でもSRが生じているはずである.SR を直接観察することができれば,より正確な閾値を評価することができるはずである. 【目的】正確なSR 閾値を測定する方法の開発 【対象と方法】健側耳聴力が正常かつ患側の鼓室に...

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Veröffentlicht in:天理医学紀要 2020/12/25, Vol.23(1), pp.48-49
Hauptverfasser: 岡上, 雄介, 児嶋, 剛, 鹿子島, 大貴, 田口, 敦士, 長谷部, 孝毅, 山本, 浩孝, 庄司, 和彦, 堀, 龍介
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:【背景】強大音から蝸牛を防御するアブミ骨筋反射(SR)は,音刺激が閾値を超えると両側の顔面神経核が刺激され両側性に生じる.検査としてはインピーダンスオージオメトリーによるレフレックス検査があるが,アブミ骨筋が収縮してアブミ骨の可動が耳小骨やMI joint を逆行に経由して鼓膜まで可動したものを間接的に検出しているにすぎない.そのため,真の閾値は測定できておらず,実際はさらに小さな音刺激でもSRが生じているはずである.SR を直接観察することができれば,より正確な閾値を評価することができるはずである. 【目的】正確なSR 閾値を測定する方法の開発 【対象と方法】健側耳聴力が正常かつ患側の鼓室に病変を伴わない,局所麻酔下に内視鏡下耳科手術を施行する患者を対象とする.術中に健側耳への音刺激にて対側耳に生じるSRを内視鏡下にアブミ骨の可動を直接確認し閾値の測定を行う.また,鼓室に銀ボール電極を設置し,筋電図を測定することにより,電気生理学的にも閾値を評価する. 【結果】内視鏡下にSRを直接確認することができた.術前のレフレックス検査によるSR閾値と比べて,内視鏡下で観察した最小音刺激閾値は低かった.アブミ骨筋筋電図も測定することができ,内視鏡下に観察した閾値とほぼ同じであった. 【考察】この検討結果はSRのより正確な閾値を測定する方法の開発に寄与する.本検討の臨床応用として,末梢性顔面神経麻痺の超早期予後診断への活用が挙げられる.SRが検出されれば顔面神経麻痺は回復しやすいとされているが,検出されなくても麻痺が回復することも多く,レフレックス検査では正確な予後診断に限界がある.それは,SRの真の閾値を測定できていないことが関係しており,より正確な閾値を測定できれば,予後診断の精度も向上するはずである.今後更なる検討を行っていく.
ISSN:1344-1817
2187-2244
DOI:10.12936/tenrikiyo.23-008