中心静脈カテーテル関連血流感染症を合併した上大静脈 ・右房内血栓に対する1 手術例
症例は43歳女性.基礎疾患のクローン病による癒着性イレウスを繰り返し,経腸栄養が不可能となったため,7年前に右鎖骨下静脈に長期留置型中心静脈カテーテルを留置し,中心静脈栄養を継続していた.1か月前からspiking fever をきたし,血液培養からメチシリン耐性黄色ブドウ球菌が検出された.心エコー,MRI で,右鎖骨下静脈,右内頸静脈,無名静脈から上大静脈にかけて血栓で閉塞しており,右房内に径20 mmの腫瘤を認めた.内科的加療による感染症コントロールが限界と考えられたため,カテーテル関連血流感染症を合併した上大静脈閉塞,右房内腫瘤に対して,全身麻酔下に胸骨正中切開で手術を開始した.右房斜切...
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Veröffentlicht in: | 天理医学紀要 2012/12/25, Vol.15(1), pp.86-90 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
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Zusammenfassung: | 症例は43歳女性.基礎疾患のクローン病による癒着性イレウスを繰り返し,経腸栄養が不可能となったため,7年前に右鎖骨下静脈に長期留置型中心静脈カテーテルを留置し,中心静脈栄養を継続していた.1か月前からspiking fever をきたし,血液培養からメチシリン耐性黄色ブドウ球菌が検出された.心エコー,MRI で,右鎖骨下静脈,右内頸静脈,無名静脈から上大静脈にかけて血栓で閉塞しており,右房内に径20 mmの腫瘤を認めた.内科的加療による感染症コントロールが限界と考えられたため,カテーテル関連血流感染症を合併した上大静脈閉塞,右房内腫瘤に対して,全身麻酔下に胸骨正中切開で手術を開始した.右房斜切開で右房内を観察したところ,器質化血栓が右房壁・上大静脈壁に強固に癒着し,カテーテルの先端が露出していた.血栓をできる限り除去し,カテーテルを抜去した.次いで,上大静脈の前壁に自己心膜パッチを当て,4-0 Prolene 連続縫合で閉鎖し,右房も連続縫合で閉鎖した.術後経過は良好で感染所見も急速に改善した.現在は,右鎖骨下静脈に再留置したカテーテルを用いて中心静脈栄養を継続しており,術後6か月の時点では上大静脈の閉塞を認めない.しかし,自己心膜パッチを用いて形成した上大静脈が長期開存するかどうか今後の慎重なフォローアップが必要である. |
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ISSN: | 1344-1817 2187-2244 |
DOI: | 10.12936/tenrikiyo.15.86 |