無投薬で経過観察中の関節リウマチ患者に生じたExophiala jeanselmeiによるphaeohyphomycosisの1例(皮膚科の臨床2009;51:1110-1111.)

89歳女. 右手背に発赤を伴う硬結が出現し, 切開排膿処置を受けたが硬結が残存したため紹介受診した. 右手背に5×3cm大の褐色腫瘤があり, 潰瘍形成を伴い腫瘤表面は一部疣状であった. HE染色で真皮から皮下にかけ好中球, リンパ球, 類上皮細胞の著明な浸潤を認めた. グロコット染色により菌糸様構造, 胞子連鎖が観察され真菌感染症が判明した. 真菌培養ではクロマイサブローデキストロース培地の室温培養2週間で黒色ペースト状のコロニーを形成した, スライドカルチャーでは菌糸の先端と側壁から分生子形成細胞(annellide)が生じ, これより多数の小分生子の形成を認めた. PCR法により組織内真菌...

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Veröffentlicht in:天理医学紀要 2010, Vol.13 (1), p.108-108
Hauptverfasser: 藤澤章弘, 八木洋輔, 牧浦宗彦, 森田和政
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:89歳女. 右手背に発赤を伴う硬結が出現し, 切開排膿処置を受けたが硬結が残存したため紹介受診した. 右手背に5×3cm大の褐色腫瘤があり, 潰瘍形成を伴い腫瘤表面は一部疣状であった. HE染色で真皮から皮下にかけ好中球, リンパ球, 類上皮細胞の著明な浸潤を認めた. グロコット染色により菌糸様構造, 胞子連鎖が観察され真菌感染症が判明した. 真菌培養ではクロマイサブローデキストロース培地の室温培養2週間で黒色ペースト状のコロニーを形成した, スライドカルチャーでは菌糸の先端と側壁から分生子形成細胞(annellide)が生じ, これより多数の小分生子の形成を認めた. PCR法により組織内真菌はExophiala jeanselmeiと同定した, イトラコナゾール100mg/dayを連日投与し, 2週間後より他院にて塩酸テルビナフィンの投与を行い, 初診より約1か月半後には手背の腫瘤は平坦化した. 本例は真菌に対する何らかの免疫応答の異常が潜在し, 関節リウマチと黒色菌糸症の両者の発症に寄与していた可能性も否定できないと考えられた.
ISSN:1344-1817