抗Aquaporin-4 抗体の蛍光顕微鏡による検出について: 2 症例の検討

背景:水チャネル蛋白のひとつ,aquaporin 4 (AQP4)に対する自己抗体は,視神経炎と脊髄炎を来す脱随疾患,Neuromyelitis Optica (NMO) の患者血清で検出される.NMO は同じ中枢神経脱随疾患である多発性硬化症(Multiple Sclerosis, MS) との異同が長年議論されてきたが,近年この自己抗体の有無に基づいて両者の臨床型の違いが明らかにされてきた.またこれらに対する治療方針を決定するうえでも,抗AQP4抗体の有無が重視されるようになっている. 方法:ヒトAQP4 とgreen fluorescent protein (GFP) のキメラ蛋白を強制...

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Veröffentlicht in:天理医学紀要 2009/12/25, Vol.12(1), pp.42-51
Hauptverfasser: 景山, 卓, 守田, 純一, 宮西, 節子, 末長, 敏彦
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:背景:水チャネル蛋白のひとつ,aquaporin 4 (AQP4)に対する自己抗体は,視神経炎と脊髄炎を来す脱随疾患,Neuromyelitis Optica (NMO) の患者血清で検出される.NMO は同じ中枢神経脱随疾患である多発性硬化症(Multiple Sclerosis, MS) との異同が長年議論されてきたが,近年この自己抗体の有無に基づいて両者の臨床型の違いが明らかにされてきた.またこれらに対する治療方針を決定するうえでも,抗AQP4抗体の有無が重視されるようになっている. 方法:ヒトAQP4 とgreen fluorescent protein (GFP) のキメラ蛋白を強制発現させたHEK293 細胞を,臨床的にNMOまたはMS (Classical MS, CMS)と診断された2 症例から得られた血清と共に2 時間培養したのち,赤色蛍光でラベルした二次抗体で免疫染色を行い,蛍光顕微鏡下で観察した.NMO またはMS の診断はそれぞれWingerchuk の基準およびMcDonald の基準に基づいて行った. 結果:AQP4発現細胞に,臨床的にNMOと診断された患者の血清を反応させた例では,AQP発現細胞に一致して点状の赤い蛍光が観察された.これに対し臨床的にMS と診断された患者の血清を反応させた例では,赤い蛍光はみられなかった.一方、NMO患者の血清をAQP4非発現細胞に反応させた際にも赤い蛍光は確認できなかった.結論:NMO患者から得た血清はAQP4 発現細胞と特異的に反応することが示され,今回の抗AQP4抗体検出法の有用性が確認された.
ISSN:1344-1817
2187-2244
DOI:10.12936/tenrikiyo.12-004