悪性リンパ腫に対する化学療法後に発症したcytomegalovirus感染症を契機に判明した後天性免疫不全症候群
症例は胃原発びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)に対してR-CHOP療法を6サイクル施行した聾唖の69歳の男性.リンパ腫は完全奏効を得るも,化学療法終了後に難治性下痢が生じた.高度のcytomegalovirus(CMV)抗原血症を伴っており,CMV腸炎の診断でganciclovirやfoscarnetで治療したが,CMV感染が遷延した.化学療法による免疫抑制以外の免疫不全の存在を疑ったところ,CD4陽性Tリンパ球の減少と抗HIV抗体陽性を認め,HIV感染症が判明し,後天性免疫不全症候群(AIDS)の診断に至った.抗ウイルス療法を開始してHIV-RNA量は陰性化したものの,CD4陽性T...
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Veröffentlicht in: | 山口医学 2022/08/31, Vol.71(2+3), pp.83-87 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
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Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 症例は胃原発びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)に対してR-CHOP療法を6サイクル施行した聾唖の69歳の男性.リンパ腫は完全奏効を得るも,化学療法終了後に難治性下痢が生じた.高度のcytomegalovirus(CMV)抗原血症を伴っており,CMV腸炎の診断でganciclovirやfoscarnetで治療したが,CMV感染が遷延した.化学療法による免疫抑制以外の免疫不全の存在を疑ったところ,CD4陽性Tリンパ球の減少と抗HIV抗体陽性を認め,HIV感染症が判明し,後天性免疫不全症候群(AIDS)の診断に至った.抗ウイルス療法を開始してHIV-RNA量は陰性化したものの,CD4陽性Tリンパ球数の回復は不十分だった.エイズ指標疾患を合併していたにもかかわらずHIV感染症の診断が遅れた背景には,患者が聾唖というコミュニケーション障害を有しており問診が十分詳細にならなかったことや,患者が高齢であり性的活動性は高くないであろうという医療者の思い込みがHIV感染症の想起を妨げてしまった可能性があった. |
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ISSN: | 0513-1731 1880-4462 |
DOI: | 10.2342/ymj.71.83 |