公衆衛生看護学実習による学習効果と課題

公衆衛生看護活動のツールとして,PDCA(Plan(計画),Do(実施・実行),Check(点検・評価),Act(処置・改善))の展開図を公衆衛生看護活動論,公衆衛生看護学実習に導入し,記録様式として活用しているA大学において,公衆衛生看護学実習による学習効果と課題を明らかにすることを目的とした.公衆衛生看護学実習を履修したA大学4年次の学生161名を対象に,2018年5月~7月,2019年5月~7月に無記名自記式調査を実施した.調査項目は,基本属性,保健師活動への印象,公衆衛生看護学実習に対する学習意欲,学習目標で構成した.139を有効回答とし,基本統計量算出,t検定を実施し,自由記載は質的...

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Veröffentlicht in:山口医学 2020/02/28, Vol.69(1), pp.57-66
Hauptverfasser: 磯村, 聰子, 守田, 孝恵, 斎藤, 美矢子, 木嶋, 彩乃
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:公衆衛生看護活動のツールとして,PDCA(Plan(計画),Do(実施・実行),Check(点検・評価),Act(処置・改善))の展開図を公衆衛生看護活動論,公衆衛生看護学実習に導入し,記録様式として活用しているA大学において,公衆衛生看護学実習による学習効果と課題を明らかにすることを目的とした.公衆衛生看護学実習を履修したA大学4年次の学生161名を対象に,2018年5月~7月,2019年5月~7月に無記名自記式調査を実施した.調査項目は,基本属性,保健師活動への印象,公衆衛生看護学実習に対する学習意欲,学習目標で構成した.139を有効回答とし,基本統計量算出,t検定を実施し,自由記載は質的記述的に分析した.学習目標毎に4点:指導の下で実施できる,5点:自立してできると回答した割合を学習到達度とした.実習前の学習目標53項目を合計した学習到達得点から,実習前高得点群,低得点群とした.長期的に保健師就職を希望する者が約3/4を占め,卒後は臨床看護で経験を積み,その後に保健師就職を検討するキャリアの選択肢が示唆された.また保健師希望の有無に関わらず,公衆衛生看護学実習に対する学習意欲は概ねポジティブであった.「公衆衛生看護学実習で学んだことは今後の看護実践に役立つ」の分析結果,「対象者の生活を考えられる」「地域との連携を学ぶ」「地域を知る」「保健師の技を学ぶ」の4カテゴリが生成された. 学習目標53項目は,実習後に全ての項目で有意に上昇した.53項目の学習到達度の平均は9割を超えた.「地域の健康課題と結び付けて,保健師活動のPDCAサイクルを展開図に記入する」の学習到達度は98%を超え,実習中のPDCAサイクルの思考の繰り返しに依拠する効果と考えられた.実習前の低得点群は,実習後には高得点群と同程度まで点数が上昇し,本実習プログラムは,低得点者も高得点者と同様に教育効果を上げることが示された.学習到達度の低い項目では,実践と概念の意味づけ,保健師の行う実践研究に大学教員が関わり推進させることが今後の課題である.
ISSN:0513-1731
1880-4462
DOI:10.2342/ymj.69.57