配偶者を亡くした遺族の悲嘆の過程とケアニード~病名告知から死別後1年間まで

本研究の目的は,配偶者の死を覚悟せざるを得ない病名の告知後から死別後1年間に,家族が体験した悲嘆の過程とケアニードを明らかにすることである.1年前に配偶者を亡くした遺族10名に,半構成的面接法を用いて配偶者の発病から死亡するまでと死後1年間の心理状況を回顧的口述により聴取した.配偶者の病名告知から死後1年間を6期間に設定し,各期間で配偶者を亡くした家族が経験した「感情を表しているデータ」と「心理的肯定的な状況」と「心理的否定的な状況」を抽出し,家族が体験していた悲嘆と必要としているケアニードについて意味内容の類似性に従って分類した.全過程をとおして20の感情カテゴリーとケアニードに関する6つの...

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Veröffentlicht in:山口医学 2019/08/09, Vol.68(2+3), pp.55-74
Hauptverfasser: 江藤, 亜矢子, 東, 玲子
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:本研究の目的は,配偶者の死を覚悟せざるを得ない病名の告知後から死別後1年間に,家族が体験した悲嘆の過程とケアニードを明らかにすることである.1年前に配偶者を亡くした遺族10名に,半構成的面接法を用いて配偶者の発病から死亡するまでと死後1年間の心理状況を回顧的口述により聴取した.配偶者の病名告知から死後1年間を6期間に設定し,各期間で配偶者を亡くした家族が経験した「感情を表しているデータ」と「心理的肯定的な状況」と「心理的否定的な状況」を抽出し,家族が体験していた悲嘆と必要としているケアニードについて意味内容の類似性に従って分類した.全過程をとおして20の感情カテゴリーとケアニードに関する6つのカテゴリーと10のサブカテゴリーが抽出された.悲嘆の過程は個人によりさまざまであり,悲嘆の過程を行き来しながら,それぞれの過程を経ていた.〈自己激励〉や〈はりつめ〉は,悲嘆の過程を健全に推進する感情因子として考えられ,〈後悔〉や《自責の念》は,健全な悲嘆の過程を抑制する因子として考えられた.ケアニードに関する6つのカテゴリーは〈最善をつくしてほしい〉〈満足できる医療を提供してほしい〉〈尊厳のある死を迎えさせてほしい〉〈家族の絆を維持させてほしい〉〈話を聞いてほしい〉〈周囲からの支えが欲しい〉であった.悲嘆の過程を支え助ける方法として,悲嘆の過程には個別性があることを認識し,悲嘆の過程を健全に推進する因子を引き出し,また,悲嘆の過程を抑制する因子を軽減できるような看護師の関わりが必要であると示唆された.また,死別後の悲嘆の進行は生前の満足いく医療・ケアに影響されており,生前のケアニードに応じた支援が重要である.
ISSN:0513-1731
1880-4462
DOI:10.2342/ymj.68.55