集学的治療により救命し得た重症急性膵炎の一例

症例は64歳女性.2013年7月に心窩部痛を主訴に近医を受診し,急性膵炎の診断で治療が開始された.翌日,重症と判定され当院へ転院となり,大量輸液,蛋白分解酵素阻害薬・抗生剤膵局所動注療法,持続的血液濾過透析(Continuous hemodiafiltration:CHDF)による加療を開始した.炎症は改善傾向にあったが,第34病日に発熱を認め,CTで膵周囲から上腸間膜動脈周囲に感染性被包化壊死(walled-off necrosis:WON)を認めた.抗生剤投与による保存的加療では改善せず,経十二指腸および経皮経肝膿瘍ドレナージを施行した.第84病日にWON内の仮性動脈瘤が破裂し,消化管出血...

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Veröffentlicht in:山口医学 2015/05/01, Vol.64(2), pp.109-114
Hauptverfasser: 小川, 亮, 戒能, 聖治, 篠田, 崇平, 川野, 道隆, 播磨, 博文, 末永, 成之, 石川, 剛, 戒能, 美雪, 黒川, 典枝, 坂井田, 功
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:症例は64歳女性.2013年7月に心窩部痛を主訴に近医を受診し,急性膵炎の診断で治療が開始された.翌日,重症と判定され当院へ転院となり,大量輸液,蛋白分解酵素阻害薬・抗生剤膵局所動注療法,持続的血液濾過透析(Continuous hemodiafiltration:CHDF)による加療を開始した.炎症は改善傾向にあったが,第34病日に発熱を認め,CTで膵周囲から上腸間膜動脈周囲に感染性被包化壊死(walled-off necrosis:WON)を認めた.抗生剤投与による保存的加療では改善せず,経十二指腸および経皮経肝膿瘍ドレナージを施行した.第84病日にWON内の仮性動脈瘤が破裂し,消化管出血を来したが,経動脈的塞栓術により止血を得た.その後の経過は良好であり,第192病日に退院となった. 今回多様な合併症が出現し,集学的治療により救命し得た重症急性膵炎の一例を経験したため,若干の文献的考察を含めて報告する.
ISSN:0513-1731
1880-4462
DOI:10.2342/ymj.64.109