比較的長期の寛解を得ている腹膜播種を伴う胃癌と食道癌の異時性重複癌の1例

われわれは異時性に胃癌と食道癌を重複した1例を経験した.順次的に放射線化学療法を行い比較的長期の病勢コントロールが得られたので文献的考察を加えて報告する.症例は69歳,男性.2009年11月心窩部痛を主訴に受診した.上部消化管内視鏡検査で前庭部に3型の腫瘍を指摘され生検で腺癌であった.幽門側胃切除を施行し,術後DTX(docetaxel)+S-1療法を5コース投与した.術後1年目の上部消化管内視鏡検査で胸部中部食道に凹凸不整な粘膜を認め,生検で扁平上皮癌と診断された.開腹すると広汎な腹膜播種を認め迅速病理で胃癌からの腺癌の播種性転移であった.CDDP+S-1を6コース投与し奏効した.その4ヵ月...

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Veröffentlicht in:山口医学 2013/08/01, Vol.62(3), pp.149-155
Hauptverfasser: 久保, 秀文, 中須賀, 千代, 多田, 耕輔, 宮原, 誠, 長谷川, 博康
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:われわれは異時性に胃癌と食道癌を重複した1例を経験した.順次的に放射線化学療法を行い比較的長期の病勢コントロールが得られたので文献的考察を加えて報告する.症例は69歳,男性.2009年11月心窩部痛を主訴に受診した.上部消化管内視鏡検査で前庭部に3型の腫瘍を指摘され生検で腺癌であった.幽門側胃切除を施行し,術後DTX(docetaxel)+S-1療法を5コース投与した.術後1年目の上部消化管内視鏡検査で胸部中部食道に凹凸不整な粘膜を認め,生検で扁平上皮癌と診断された.開腹すると広汎な腹膜播種を認め迅速病理で胃癌からの腺癌の播種性転移であった.CDDP+S-1を6コース投与し奏効した.その4ヵ月後に食道癌の再燃を認め,CDDP+S-1を4コース追加したが増悪を認めたため順次的に食道癌に対して放射線照射を追加し,腫瘍およびリンパ節転移は縮小した.その2ヵ月後に食道腫瘍の再燃が疑われたためDTX+CDGP療法を開始して現在,経過観察中である.
ISSN:0513-1731
1880-4462
DOI:10.2342/ymj.62.149