残胃癌と多発性分枝型膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)の同時性重複腫瘍の1例

「和文抄録」 今回われわれは, 残胃癌とともに膵内に同時多発発生した膵管内乳頭粘液性腫瘍(以下, IPMN)の1例を経験したので報告する. 症例は62歳の男性で30歳代に胃癌にて幽門側胃切除, Billroth II法再建の手術歴あり. 心窩部痛を主訴に近医を受診し上部消化管内視鏡検査による生検で残胃内に早期胃癌を診断された. 精査のため当院へ紹介され, 画像診断で膵内に多発する多房性嚢胞性腫瘤を指摘されIPMNと診断した. 胃癌に対してD1郭清を伴う胃全摘術を, 膵腫瘤に対しては膵頭十二指腸切除術を施行した. 病理組織学的には胃癌は粘膜内のみに浸潤する中分化型管状腺癌でありstage IAで...

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Veröffentlicht in:山口医学 2013-05, Vol.62 (2), p.117-122
Hauptverfasser: 久保秀文, 鈴尾舞子, 中須賀千代, 多田耕輔, 宮原誠, 長谷川博康
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「和文抄録」 今回われわれは, 残胃癌とともに膵内に同時多発発生した膵管内乳頭粘液性腫瘍(以下, IPMN)の1例を経験したので報告する. 症例は62歳の男性で30歳代に胃癌にて幽門側胃切除, Billroth II法再建の手術歴あり. 心窩部痛を主訴に近医を受診し上部消化管内視鏡検査による生検で残胃内に早期胃癌を診断された. 精査のため当院へ紹介され, 画像診断で膵内に多発する多房性嚢胞性腫瘤を指摘されIPMNと診断した. 胃癌に対してD1郭清を伴う胃全摘術を, 膵腫瘤に対しては膵頭十二指腸切除術を施行した. 病理組織学的には胃癌は粘膜内のみに浸潤する中分化型管状腺癌でありstage IAであった. 一方, 膵嚢胞性病変には悪性所見はなく腺腫であった. 手術侵襲より術後QOLの低下が懸念されたが, 術後経過は良好で重篤な合併症は起こさず45病日目に退院した. 今後は残膵や他臓器内の異時性発生癌に注意して慎重なる経過観察が必要である.
ISSN:0513-1731