4. 妊娠後期の脳出血の1例
【はじめに】 妊娠は短期間に劇的な変化が体内で生じるため, 母体にとっては非常にストレスフルなものである. 生理的な変化に加えて, 時に母体に重大な障害を与える合併症も発症しうる. 【症例】 31歳女性, 妊娠29週. 約1週間前から体調不良があり, 浮腫, 体重増加, 高血圧などをかかりつけ医で指摘されていた. 夫が仕事から帰宅した際, 痙攣している患者を発見した. 市内の救急病院は受け入れ困難だったため, 当センターまで約1時間かけて搬送され, その間痙攣が続いていた. 来院後頭部CTで脳出血が判明した. また血液検査では肝機能異常, 血小板低下, 溶血の所見があり, HELLP症候群の合...
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Veröffentlicht in: | 山口医学 2011, Vol.60 (1/2), p.46-46 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 【はじめに】 妊娠は短期間に劇的な変化が体内で生じるため, 母体にとっては非常にストレスフルなものである. 生理的な変化に加えて, 時に母体に重大な障害を与える合併症も発症しうる. 【症例】 31歳女性, 妊娠29週. 約1週間前から体調不良があり, 浮腫, 体重増加, 高血圧などをかかりつけ医で指摘されていた. 夫が仕事から帰宅した際, 痙攣している患者を発見した. 市内の救急病院は受け入れ困難だったため, 当センターまで約1時間かけて搬送され, その間痙攣が続いていた. 来院後頭部CTで脳出血が判明した. また血液検査では肝機能異常, 血小板低下, 溶血の所見があり, HELLP症候群の合併が示唆された. 手術適応は既にないと判断された. その後脳浮腫が進行して脳死状態となり, 第19病日に永眠された. 【考察】 本症例は妊娠中毒症(妊娠高血圧症候群), HELLP症候群を合併した後期妊産婦の脳血管障害症例である. 頭部MRI検査のFLAIR画像において, RPLS(reversible posterior leucoencephalopathy syndrome)の所見が認められたことから, 子癇発作の発症が疑われる. 子癇発作と脳血管障害はオーバーラップすることがあり, 妊産婦の痙攣発作の診断には慎重な対応が求められる. 【結語】 妊産婦の救急症例に対しては, 早期の初期対応・診断と適切な施設への迅速な搬送など, 救急バイパスの整備が必要である. |
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ISSN: | 0513-1731 |