一般演題】2. 頚動脈ステント留置術による脳循環動態変化

頚動脈ステント(CAS)の脳梗塞再発あるいは心血管イベントの抑制効果, 周術期合併症については徐々に明らかにされているが, CASによる慢性期の脳循環動態の変化についてはあまり知られていない. 【対象と方法】2006年4月から2008年2月までに当院で治療を行った片側性内頸動脈狭窄病変を有する25例を対象とした. 全例, 治療前と治療後慢性期にdual table ARG法による脳血流定量を行い, さらにSEE-JETにより脳血流のstage解析を行った. 狭窄度はNASCET法で評価し, 80%以上狭窄を高度狭窄群として, 50%以上80%未満狭窄の中等度狭窄群と比較した. 【結果】中大脳動...

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Veröffentlicht in:山口医学 2009, Vol.58 (3), p.129-130
Hauptverfasser: 石原秀行, 加藤祥一, 黒川徹, 白尾敏之, 米田浩, 岡史朗, 吉野弘子, 井本浩哉, 中山尚登, 原田啓, 鈴木倫保
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:頚動脈ステント(CAS)の脳梗塞再発あるいは心血管イベントの抑制効果, 周術期合併症については徐々に明らかにされているが, CASによる慢性期の脳循環動態の変化についてはあまり知られていない. 【対象と方法】2006年4月から2008年2月までに当院で治療を行った片側性内頸動脈狭窄病変を有する25例を対象とした. 全例, 治療前と治療後慢性期にdual table ARG法による脳血流定量を行い, さらにSEE-JETにより脳血流のstage解析を行った. 狭窄度はNASCET法で評価し, 80%以上狭窄を高度狭窄群として, 50%以上80%未満狭窄の中等度狭窄群と比較した. 【結果】中大脳動脈領域の脳血流量(ml/100g/min.)は, 中等度狭窄群では, 安静時, Diamox負荷後ともに治療前後で有意な変化は認められなかった. 高度狭窄群では安静時28.5±8.3で中等度狭窄群より有意に低かったが, CAS後も29.5±5.1と改善を認めなかった. しかし, Diamox負荷ではCASにより29.7±7.1から42.3±8.0へと有意な改善が認められた. また, 健側では, 高度狭窄群で安静時脳血流量は中等度狭窄群に比べ有意に低下している. しかし, CASによる脳血流の有意な変化は安静時, Diamox負荷時ともに認められなかった. 【結論】高度狭窄症例では, 健側の安静時脳血流も低下している. CASによって安静時脳血流量は増加せず, 高度狭窄症例に限って脳血流予備能が改善する. 狭窄が解除されても脳血流量が変わらないことは, 頚動脈狭窄が進行した場合には, 慢性的脳代謝障害も同時に進行していることが示唆された.
ISSN:0513-1731