剖検にて大腸癌穿孔が判明したClostridium septicumによる非外傷性ガス壊疽の1例

Clostridium septicumによる非外傷性ガス壊疽が急激に進行して死亡し,剖検で大腸癌が判明した1例を報告する。症例は70歳代,女性。来院3日前に左肩痛が出現し,悪化傾向のため救急搬送された。来院時左上肢・体幹部に紫斑や水疱,皮下気腫を認めた。CTにて頸部から体幹部・左上肢に広範な皮下気腫を認め,腹部では上行結腸壁の一部が穿孔し周囲の脂肪織濃度上昇を認めた。消化管穿孔の合併を疑ったが炎症は局所にとどまっていると考え,急速に進行するガス壊疽の治療を優先し緊急で左肩甲帯離断術を施行した。しかし壊死範囲は拡大し全身状態は急速に悪化し,第2病日に永眠された。血液培養からC. septicu...

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Veröffentlicht in:日本臨床救急医学会雑誌 2024/04/30, Vol.27(2), pp.102-107
Hauptverfasser: 石亀, 那歩, 広瀬, 由和, 井ノ上, 幸典, 中原, 亜紗, 橋立, 英樹, 草部, 雄太, 廣瀬, 保夫
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:Clostridium septicumによる非外傷性ガス壊疽が急激に進行して死亡し,剖検で大腸癌が判明した1例を報告する。症例は70歳代,女性。来院3日前に左肩痛が出現し,悪化傾向のため救急搬送された。来院時左上肢・体幹部に紫斑や水疱,皮下気腫を認めた。CTにて頸部から体幹部・左上肢に広範な皮下気腫を認め,腹部では上行結腸壁の一部が穿孔し周囲の脂肪織濃度上昇を認めた。消化管穿孔の合併を疑ったが炎症は局所にとどまっていると考え,急速に進行するガス壊疽の治療を優先し緊急で左肩甲帯離断術を施行した。しかし壊死範囲は拡大し全身状態は急速に悪化し,第2病日に永眠された。血液培養からC. septicumが検出され,病理解剖にて上行結腸癌の穿孔と,癌病巣にC. septicum感染を認めた。C. septicumによる非外傷性ガス壊疽は大腸癌など悪性腫瘍患者に合併することが多く,急速に進行し死亡率も高い。非外傷性のガス壊疽患者ではC. septicumによるガス壊疽を念頭に,大腸癌を含めた悪性腫瘍の検索が必要である。
ISSN:1345-0581
2187-9001
DOI:10.11240/jsem.27.102