脳底動脈先端部閉塞に左上下肢の急性動脈閉塞を生じた心原性塞栓症

心房細動の既往がある63歳の男性が脳卒中症状(右片麻痺および構音障害)のため当院に救急搬送された。初療時,脳卒中症状のほかに非麻痺側の橈骨動脈,足背動脈の拍動が触知できず大動脈解離を疑った。画像検査の結果,大動脈解離は否定され,脳底動脈先端部閉塞が認められ心原性塞栓症と診断し,この時点で左上下肢の動脈閉塞と判断した。診断後,速やかに脳底動脈閉塞に対して機械的血栓回収術を行い,さらに左上下肢の末梢 動脈閉塞に対しても血栓回収術を行い,いずれも良好な再開通が得られた。四肢末梢 における急性動脈閉塞症は,肢のみならず生命予後にもかかわる致命的な病態になり得る。しかし,脳卒中症状を呈した患者では,急性...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:日本臨床救急医学会雑誌 2023/02/28, Vol.26(1), pp.40-45
Hauptverfasser: 守屋, まりこ, 弦切, 純也, 加藤, 貴久, 末永, 大希, 大竹, 成明, 沼田, 儒志, 鈴木, 健也
Format: Artikel
Sprache:jpn
Schlagworte:
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:心房細動の既往がある63歳の男性が脳卒中症状(右片麻痺および構音障害)のため当院に救急搬送された。初療時,脳卒中症状のほかに非麻痺側の橈骨動脈,足背動脈の拍動が触知できず大動脈解離を疑った。画像検査の結果,大動脈解離は否定され,脳底動脈先端部閉塞が認められ心原性塞栓症と診断し,この時点で左上下肢の動脈閉塞と判断した。診断後,速やかに脳底動脈閉塞に対して機械的血栓回収術を行い,さらに左上下肢の末梢 動脈閉塞に対しても血栓回収術を行い,いずれも良好な再開通が得られた。四肢末梢 における急性動脈閉塞症は,肢のみならず生命予後にもかかわる致命的な病態になり得る。しかし,脳卒中症状を呈した患者では,急性大動脈解離など重篤疾患の鑑別を優先する必要があり,四肢急性動脈閉塞症を診断することは時に難しい。脳卒中初期診療において両側末梢 動脈の拍動触知の左右差を評価する際,片側動脈の拍動消失は虚血性脳卒中と四肢急性動脈閉塞症の合併を疑う所見として重要である。
ISSN:1345-0581
2187-9001
DOI:10.11240/jsem.26.40