高齢者の軽微な骨折を契機に発症し診断に頭部MRIが有用であった脂肪塞栓症の1例
症例は80歳代,男性。自宅で転倒し,坐骨仙骨の不全骨折と腰椎圧迫骨折のため,近医に入院した。受傷6時間程度経過後より,徐々に呼吸不全と意識障害が進行し,頭部MRI画像で脂肪塞栓症が疑われた。当院に転院搬送となり,非侵襲的陽圧換気療法による呼吸管理を開始した。第4病日には意識状態は改善し,呼吸も安定したため非侵襲的陽圧換気療法を離脱した。第24病日にリハビリテーション目的に転院となった。本例のように高齢者の比較的軽微な骨折でも,脂肪塞栓症を発症することがあり,致死的になり得るため,日常診療において留意する必要がある。また,脂肪塞栓症は,本例のように受傷早期発症など比較的まれな発症様式や非典型的な...
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Veröffentlicht in: | 日本臨床救急医学会雑誌 2021/12/28, Vol.24(6), pp.823-827 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
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Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 症例は80歳代,男性。自宅で転倒し,坐骨仙骨の不全骨折と腰椎圧迫骨折のため,近医に入院した。受傷6時間程度経過後より,徐々に呼吸不全と意識障害が進行し,頭部MRI画像で脂肪塞栓症が疑われた。当院に転院搬送となり,非侵襲的陽圧換気療法による呼吸管理を開始した。第4病日には意識状態は改善し,呼吸も安定したため非侵襲的陽圧換気療法を離脱した。第24病日にリハビリテーション目的に転院となった。本例のように高齢者の比較的軽微な骨折でも,脂肪塞栓症を発症することがあり,致死的になり得るため,日常診療において留意する必要がある。また,脂肪塞栓症は,本例のように受傷早期発症など比較的まれな発症様式や非典型的な臨床徴候のため,診断に苦慮する症例も散見される。頭部MRIは,迅速かつ客観的な診断の一助となり,今後さらなる研究が望まれる。 |
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ISSN: | 1345-0581 2187-9001 |
DOI: | 10.11240/jsem.24.823 |