残存小腸110cmの短腸症候群における栄養と経口投与された薬剤の検討

外傷性小腸損傷に対して部分切除術が施行され,Treitz靱帯から110cmの部位の口側に人工肛門,肛門側に腸瘻を造設した短腸症候群において,中心静脈栄養を離脱し経腸栄養のみで自宅退院となった症例を経験した。栄養は術後2日目より中心静脈栄養のみで十分なエネルギー量を満たすよう医師と投与設計を行った。電解質や微量元素,吸収が期待できないビタミンB12は経静脈的な投与経路を提案し,経口からは成分栄養剤や膵消化酵素剤などの処方介入を行った。内服薬は経口および腸瘻からの2つの投与経路があったが,本症例で投与された薬剤の消化管切除前後における血中濃度を比較した報告はなかった。文献的考察から小腸上部が薬剤の...

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Veröffentlicht in:日本臨床救急医学会雑誌 2019/10/31, Vol.22(5), pp.741-745
Hauptverfasser: 小林, 正人, 野口, 周作, 石丸, 直樹, 田原, 温, 菊池, 広子, 松田, 潔, 笠原, 英城
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:外傷性小腸損傷に対して部分切除術が施行され,Treitz靱帯から110cmの部位の口側に人工肛門,肛門側に腸瘻を造設した短腸症候群において,中心静脈栄養を離脱し経腸栄養のみで自宅退院となった症例を経験した。栄養は術後2日目より中心静脈栄養のみで十分なエネルギー量を満たすよう医師と投与設計を行った。電解質や微量元素,吸収が期待できないビタミンB12は経静脈的な投与経路を提案し,経口からは成分栄養剤や膵消化酵素剤などの処方介入を行った。内服薬は経口および腸瘻からの2つの投与経路があったが,本症例で投与された薬剤の消化管切除前後における血中濃度を比較した報告はなかった。文献的考察から小腸上部が薬剤の吸収部位として重要であると想定し,経口投与を原則とした。経口投与した薬剤の有効性を評価することは困難であったが,経口投与されたイトラコナゾールは臨床経過から有効であったことが示唆された。
ISSN:1345-0581
2187-9001
DOI:10.11240/jsem.22.741