術前画像診断により腹腔鏡下胆囊摘出術を施行した胆囊捻転の1例
症例は30歳女性。突然の心窩部痛を主訴に救急外来を受診。来院時苦悶様顔貌で,右季肋部に圧痛を認めた。腹部CT 検査で胆囊腫大および粘膜の高吸収像,頸部の渦巻き像を認めたことから胆囊捻転と診断し,緊急で腹腔鏡下胆囊摘出術を施行した。腹腔内を観察すると,胆囊は捻転解除後であったが,著明に腫大しており,漿膜面に虚血性変化を認めた。胆囊は底部,体部が肝床部に固定されていない遊走胆囊(Gross分類Ⅱ型)であった。内腔は粘膜面の黒色調変化を来し,組織学的に壁全層の炎症細胞浸潤,うっ血,出血を認め,捻転に伴う変化として矛盾しない所見であった。胆囊捻転はまれな疾患であり,先天的要因として遊走胆囊,後天的要因...
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Veröffentlicht in: | 日本臨床救急医学会雑誌 2018/02/28, Vol.21(1), pp.37-41 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
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Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 症例は30歳女性。突然の心窩部痛を主訴に救急外来を受診。来院時苦悶様顔貌で,右季肋部に圧痛を認めた。腹部CT 検査で胆囊腫大および粘膜の高吸収像,頸部の渦巻き像を認めたことから胆囊捻転と診断し,緊急で腹腔鏡下胆囊摘出術を施行した。腹腔内を観察すると,胆囊は捻転解除後であったが,著明に腫大しており,漿膜面に虚血性変化を認めた。胆囊は底部,体部が肝床部に固定されていない遊走胆囊(Gross分類Ⅱ型)であった。内腔は粘膜面の黒色調変化を来し,組織学的に壁全層の炎症細胞浸潤,うっ血,出血を認め,捻転に伴う変化として矛盾しない所見であった。胆囊捻転はまれな疾患であり,先天的要因として遊走胆囊,後天的要因として亀背,側彎,腹部打撲などが指摘されている。高齢女性に多いとされるが,小児や若年者の報告も散見され,原因不明の胆囊腫大を認めた場合は,常に捻転の可能性を考慮すべきである。治療は腹腔鏡下胆囊摘出術が適している。 |
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ISSN: | 1345-0581 2187-9001 |
DOI: | 10.11240/jsem.21.37 |