乳酸アシドーシスを呈したテオフィリン中毒の一例

症例は20代の女性。スーパーの店内で意識レベルが低下したため救急要請された。薬を40錠飲んだ,と話していた。統合失調症,うつ病,パニック障害,気管支喘息の既往があり,パロキセチン,アミトリプチリンなど数種類の薬剤を定期内服していた。来院時の意識レベルはGCS E1V1M5であり,血圧107/36mmHg,脈拍132回/min であった。原因薬剤が不明のまま全身管理を開始したが,多尿,低カリウム血症,乳酸アシドーシスなどの所見を呈した。乳酸アシドーシスが改善しないため,薬剤による乳酸アシドーシスの可能性を考え鑑別を行ったところ,低カリウム血症などの所見からテオフィリン中毒を疑うに至った。テオフィ...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:日本臨床救急医学会雑誌 2015/10/31, Vol.18(5), pp.691-695
Hauptverfasser: 増井, 亜紗実, 岩下, 義明, 大森, 教成, 石倉, 健, 武田, 多一, 今井, 寛
Format: Artikel
Sprache:jpn
Schlagworte:
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:症例は20代の女性。スーパーの店内で意識レベルが低下したため救急要請された。薬を40錠飲んだ,と話していた。統合失調症,うつ病,パニック障害,気管支喘息の既往があり,パロキセチン,アミトリプチリンなど数種類の薬剤を定期内服していた。来院時の意識レベルはGCS E1V1M5であり,血圧107/36mmHg,脈拍132回/min であった。原因薬剤が不明のまま全身管理を開始したが,多尿,低カリウム血症,乳酸アシドーシスなどの所見を呈した。乳酸アシドーシスが改善しないため,薬剤による乳酸アシドーシスの可能性を考え鑑別を行ったところ,低カリウム血症などの所見からテオフィリン中毒を疑うに至った。テオフィリンの血中濃度を測定したところ88μg/mLと中毒域であった(後日家族への聴取で喘息治療をしていたことが判明した)。血液濾過透析を行い,第5病日に独歩退院となった。テオフィリン中毒では血圧低下,低カリウム血症,乳酸アシドーシスなどの所見を呈することがあり,重症の場合致死的となる。乳酸アシドーシスからテオフィリン中毒を疑い診断に至った一例を経験したので報告する。
ISSN:1345-0581
2187-9001
DOI:10.11240/jsem.18.691