軽微な頭部外傷を契機に発症した後咽頭間隙血腫の1例

症例は71歳男性。既往歴に高血圧症,頸椎症と腰部脊柱管狭窄症の手術歴あり。現病歴は飲酒後に転倒して前額部を打撲し,その約1時間後に受診したが,頭部CTで異常を認めずいったん帰宅。受傷約5時間後に頸部痛,呼吸困難を主訴に救急搬送された。頸部の腫脹・発赤が著明でstridorを聴取し,緊急気管支鏡下に経口気管挿管を施行した。頸部CTで後咽頭間隙の血腫を疑う腫瘤様の陰影を認め,気道・食道は著明に圧排されていた。人工呼吸管理下で頸部安静による保存的治療を行い,血腫が縮小した第10病日に抜管し,第45病日に転院した。後咽頭間隙血腫は上気道閉塞をきたす緊急疾患であるが,軽微な頭部外傷後にも発症する可能性が...

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Veröffentlicht in:日本臨床救急医学会雑誌 2013/04/30, Vol.16(2), pp.146-151
Hauptverfasser: 宇佐美, 哲郎, 廣田, 哲也, 菊田, 正太, 矢田, 憲孝
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:症例は71歳男性。既往歴に高血圧症,頸椎症と腰部脊柱管狭窄症の手術歴あり。現病歴は飲酒後に転倒して前額部を打撲し,その約1時間後に受診したが,頭部CTで異常を認めずいったん帰宅。受傷約5時間後に頸部痛,呼吸困難を主訴に救急搬送された。頸部の腫脹・発赤が著明でstridorを聴取し,緊急気管支鏡下に経口気管挿管を施行した。頸部CTで後咽頭間隙の血腫を疑う腫瘤様の陰影を認め,気道・食道は著明に圧排されていた。人工呼吸管理下で頸部安静による保存的治療を行い,血腫が縮小した第10病日に抜管し,第45病日に転院した。後咽頭間隙血腫は上気道閉塞をきたす緊急疾患であるが,軽微な頭部外傷後にも発症する可能性がある。とくに,高齢者で前方からの外力で頸部の過伸展をきたした頭部外傷例では,少なくとも24時間は厳重な経過観察を行い,頸部痛や発声障害・哄下障害・呼吸困難などを認めた際には必ず本症の合併を念頭におき,適切な気道管理に留意する必要がある。
ISSN:1345-0581
2187-9001
DOI:10.11240/jsem.16.146