胸腹部外傷術後の肺傷害に対して経皮的心肺補助法が有用であった高齢者の1例

症例は80歳代の男性。平成18年某月交通事故に遭遇し,当院救命救急センターに搬送された。来院時のCT検査にて胸骨骨折,気胸と軽度の肺傷害の診断のもとに入院となった。来院翌日,腹痛と呼吸苦が出現し,CTにて消化管穿孔と縦隔気腫,心嚢気腫を認め,緊急手術を施行した。空腸穿孔部縫合閉鎖とドレナージ術を施行した。手術終了時から呼吸状態が悪化し,人工呼吸器管理を行っても十分な酸素化が得られない肺傷害に陥った。高齢ではあったが,受傷直前の活動性も高く,既往もないうえ,当院の導入基準である①感染がコントロールされている,②循環動態が安定している,③出血傾向が出現していない,④重篤な臓器障害が新たに出現してい...

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Veröffentlicht in:日本臨床救急医学会雑誌 2009/02/28, Vol.12(1), pp.43-49
Hauptverfasser: 土居, 浩一, 矢埜, 正実, 松山, 正和, 新名, 克彦, 西村, 正憲, 中村, 栄作, 松尾, 彰宣, 大地, 哲史, 竹智, 義臣, 窪田, 悦二
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:症例は80歳代の男性。平成18年某月交通事故に遭遇し,当院救命救急センターに搬送された。来院時のCT検査にて胸骨骨折,気胸と軽度の肺傷害の診断のもとに入院となった。来院翌日,腹痛と呼吸苦が出現し,CTにて消化管穿孔と縦隔気腫,心嚢気腫を認め,緊急手術を施行した。空腸穿孔部縫合閉鎖とドレナージ術を施行した。手術終了時から呼吸状態が悪化し,人工呼吸器管理を行っても十分な酸素化が得られない肺傷害に陥った。高齢ではあったが,受傷直前の活動性も高く,既往もないうえ,当院の導入基準である①感染がコントロールされている,②循環動態が安定している,③出血傾向が出現していない,④重篤な臓器障害が新たに出現していない,の4項目がすべてクリアされていたため,経皮的心肺補助法[percutaneous cardiopulmonary support(PCPS)]を導入した。縦隔気腫と肺傷害の改善に伴って呼吸状態は改善し,術後2週間後にPCPSを離脱し,4週間後には,人工呼吸器から離脱した。栄養管理やリハビリ治療等の集学的治療により,全身状態は改善し,3ヶ月後にリハビリ専門施設に転院となった。
ISSN:1345-0581
2187-9001
DOI:10.11240/jsem.12.43