施設入居高齢者におけるビタミンD栄養状態の改善に対するビタミンD3 800IU/日介入の効果の検討(pp. 453-458)

ビタミンDの目安量を検討するために, 施設入居高齢者を対象に, 30日間の800IU/日のビタミンD3介入試験を行い, 血中ビタミンD関連指標および骨代謝への影響を検討した. 対象者は施設入居高齢者62名であり, 無作為割付にてカルシウム200mg+ビタミンD3 800IU負荷(Ca+VD)群(n=32)とカルシウム200mg負荷(Ca)群(n=30)の2群に分類し, 30日間の介入を行った. ビタミンD栄養状態の指標として, 血清25ヒドロキシビタミンD(25OH-D)濃度およびその不足の指標である血清副甲状腺ホルモン(PTH)濃度を用いた. また骨代謝指標には骨形成マーカーに血清骨型アルカ...

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Veröffentlicht in:日本栄養・食糧学会誌 2010, Vol.63 (1), p.21-21
Hauptverfasser: 桑原晶子, 津川尚子, 田中清, 藤井美野里, 河合信子, 迎幸子, 加藤譲, 小島康子, 高橋香, 小村一誠, 加川鈴子, 井上章, 野池利彰, 木戸詔子, 岡野登志夫
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:ビタミンDの目安量を検討するために, 施設入居高齢者を対象に, 30日間の800IU/日のビタミンD3介入試験を行い, 血中ビタミンD関連指標および骨代謝への影響を検討した. 対象者は施設入居高齢者62名であり, 無作為割付にてカルシウム200mg+ビタミンD3 800IU負荷(Ca+VD)群(n=32)とカルシウム200mg負荷(Ca)群(n=30)の2群に分類し, 30日間の介入を行った. ビタミンD栄養状態の指標として, 血清25ヒドロキシビタミンD(25OH-D)濃度およびその不足の指標である血清副甲状腺ホルモン(PTH)濃度を用いた. また骨代謝指標には骨形成マーカーに血清骨型アルカリホスファターゼ(BAP), 骨吸収マーカーに血清酒石酸耐性酸性ホスファターゼ(TRACP-5b)を測定した. 血液検査に併せて, 介入期間中の食事調査を行った. その結果, 対象者はビタミンD摂取量が約300IU/日と, 食事摂取基準2005年版の目安量の1.5倍も摂取しているにもかかわらず, 両群の血清25OH-D濃度は平均9.7ng/mLと強いビタミンD不足状態が示唆された. 介入試験後, Ca+VD群において, 平均25OH-D濃度は19.3ng/mL, Ca群で11.0ng/mLとなり, Ca+VD群で有意に高値を示した(p<0.001). 血清PTH濃度は介入に対するコンプライアンスが80%以上の者で解析をした場合に, Ca+VD群で介入後の値が有意に低値を示した(p=0.05). 骨代謝指標については両群共に有意な変化はみられなかった. 以上の点から, 施設入居者のような日照の機会が少ない高齢対象者において, 800IU/日のビタミンD3介入はビタミンD栄養状態の改善に有用であると考えられたが, さらに長期の介入試験を実施する必要性が示唆された.
ISSN:0287-3516