デンプン分解法で調製された米タンパク質に比べてアルカリ抽出米タンパク質の生体内利用率が優れている理由としてプロラミンの消化が関係する(p.170-177)

アルカリ抽出法で調製された米タンパク質(AE-RP)は澱粉分解法で調製された米タンパク質(SD-RP)に比べて, 人工消化試験では高い消化性を有し, このAE-RPの消化性の改善はプロテインボディー(PB)の構造変化によると推察されることを前報で示した. 本研究では, AE-RPのSD-RPに対する生体内利用率の優位性を解明するために成長期ラットを用いて検討を試みた. AE-RPとSD-RPのSDS-PAGEによるポリペプチド組成およびアミノ酸組成に差異はみられなかった. 4週間の成長試験により, AE-RP摂取群はカゼイン群(対照)の増体重および成長曲線と同様で, SD-RP摂取群に比べて有...

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Veröffentlicht in:日本栄養・食糧学会誌 2009, Vol.62 (3), p.142-142
Hauptverfasser: 熊谷武久, 渡邊令子, 斉藤真理子, 渡辺紀之, 久保田真敏, 門脇基二
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:アルカリ抽出法で調製された米タンパク質(AE-RP)は澱粉分解法で調製された米タンパク質(SD-RP)に比べて, 人工消化試験では高い消化性を有し, このAE-RPの消化性の改善はプロテインボディー(PB)の構造変化によると推察されることを前報で示した. 本研究では, AE-RPのSD-RPに対する生体内利用率の優位性を解明するために成長期ラットを用いて検討を試みた. AE-RPとSD-RPのSDS-PAGEによるポリペプチド組成およびアミノ酸組成に差異はみられなかった. 4週間の成長試験により, AE-RP摂取群はカゼイン群(対照)の増体重および成長曲線と同様で, SD-RP摂取群に比べて有意に高かった(p<0.05). SD-RP摂取群のタンパク質利用効率(PER)は1.73で, AE-RP摂取群(1.87)とカゼイン群(1.84)に比べて有意に低値であった(p<0.05). 成長試験終了時の血漿リジン濃度はAE-RP摂取群とSD-RP摂取群ではほぼ同レベルであったが, カゼイン群に比べてかなり低かった(p<0.001). また, 絶食後に無麻酔下でAE-RPとSD-RPを経口投与(4g/kg)して, 経時的に門脈から採血しその血漿アミノ酸濃度を測定した. 両群の全てのアミノ酸濃度は30分もしくは1時間後に最高値に達し, 投与開始6時間後には投与前レベルに低下した. 投与開始から6時間後までの血中ロイシン, バリン, アルギニンの3必須アミノ酸の総量はAE-RP摂取群の方がSD-RP摂取群より有意に高かった(p<0.05). さらに, ウエスタンプロット解析により13kDaプロラミンがSD-RP摂取群の糞のみから検出された. 以上の結果から, プロラミンを含有する米タンパク質はアルカリ抽出法で調製することによりプロラミンの消化性が高まり, 生体内利用率が向上することが示された.
ISSN:0287-3516