運動愛好者を対象とした中強度および高強度運動における中鎖脂肪酸摂取の影響(p.120-125)

中鎖脂肪酸トリアシルグリセロール(MCT)は, 長鎖脂肪酸トリアシルグリセロール(LCT)に比べて速やかに, また, 完全に脂肪酸に加水分解され, ベータ酸化による代謝を受けやすいことが知られている. そこで, 運動愛好者を対象に少量(6g)のMCTの2週間摂取による中強度運動のエネルギー代謝ならびに高強度運動のパフォーマンスにおける影響を検討した. 被験者はMCT, ないし対照としてLCTを14日間摂取し, ピーク酸素摂取量の60%の負荷で40分間, 引き続きピーク酸素摂取量の80%の負荷で疲労困憊まで, 自転車エルゴメータ運動を行った. 血中乳酸濃度, VO2, VCO2や自覚的運動強度(...

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Veröffentlicht in:日本栄養・食糧学会誌 2009, Vol.62 (3), p.140-140
Hauptverfasser: 野坂直久, 鈴木佳恵, 長門石亮, 笠井通雄, 呉堅, 田口素子
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:中鎖脂肪酸トリアシルグリセロール(MCT)は, 長鎖脂肪酸トリアシルグリセロール(LCT)に比べて速やかに, また, 完全に脂肪酸に加水分解され, ベータ酸化による代謝を受けやすいことが知られている. そこで, 運動愛好者を対象に少量(6g)のMCTの2週間摂取による中強度運動のエネルギー代謝ならびに高強度運動のパフォーマンスにおける影響を検討した. 被験者はMCT, ないし対照としてLCTを14日間摂取し, ピーク酸素摂取量の60%の負荷で40分間, 引き続きピーク酸素摂取量の80%の負荷で疲労困憊まで, 自転車エルゴメータ運動を行った. 血中乳酸濃度, VO2, VCO2や自覚的運動強度(RPE)を安静時および運動中に測定した. ピーク酸素摂取量の80%の負荷における疲労困憊までの運動持続時間は, MCT摂取群(10.2±7.6分;平均値±SD)ではLCT摂取群(5.8±3.3分)に比べて有意に長かった. 運動中の血中乳酸濃度やRPEはMCT摂取群において有意(p<0.05)に低かった. MCT摂取群での運動中の脂質酸化量はLCT摂取群に比べて高値を, 糖質酸化量は低値を示したものの, 有意ではなかった. これらの結果は脂肪酸由来のエネルギー利用の促進によって糖質由来のエネルギー利用を抑制する可能性がある. 結論として, 少量短期間のMCT摂取はLCTに比べ中強度運動時に血中乳酸濃度やRPEの上昇を抑制し, 引き続き行われた高強度運動時の持続時間を延長することが示唆された.
ISSN:0287-3516