Fe3+・キシレノールオレンジ法による脂質ヒドロペルオキシドの測定:(2)リポキシゲナーゼアッセイへの適用(p.92-98)

FOX法は560nmに極大吸収を持つ鉄-キシレノールオレンジ錯体(Fe3+/XO)の量を測定してヒドロペルオキシドを定量する方法である. 著者らは最近, Fe3+/XOが膜を形成した卵黄ホスファチジルコリン(EYPC)と複合体を形成して610nmにより強い極大吸収を持つことを見出し, これを応用した感度の高い改良FOX法を報告した. リポキシゲナーゼ(LOX)やその代謝産物は疾患の進行のさまざまな過程に係わっていることが報告されており, その簡便な測定法が求められている. そこで著者らは, 動物由来のLOXとしてヒト15-リポキシゲナーゼ-2(15-LOX-2)を, また植物由来のLOXとして...

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Veröffentlicht in:日本栄養・食糧学会誌 2009, Vol.62 (2), p.89-89
Hauptverfasser: 福澤健治, 佐野真純, 赤井かおり, 盛重純一, 徳村彰, 地阪光生
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:FOX法は560nmに極大吸収を持つ鉄-キシレノールオレンジ錯体(Fe3+/XO)の量を測定してヒドロペルオキシドを定量する方法である. 著者らは最近, Fe3+/XOが膜を形成した卵黄ホスファチジルコリン(EYPC)と複合体を形成して610nmにより強い極大吸収を持つことを見出し, これを応用した感度の高い改良FOX法を報告した. リポキシゲナーゼ(LOX)やその代謝産物は疾患の進行のさまざまな過程に係わっていることが報告されており, その簡便な測定法が求められている. そこで著者らは, 動物由来のLOXとしてヒト15-リポキシゲナーゼ-2(15-LOX-2)を, また植物由来のLOXとして大豆リポキシゲナーゼ(SLOX)を選び, その活性のアッセイに改良FOX法の適用を試みた. まず15-LOX-2について, 汎用されている共役2重結合に由来する237nmの紫外部吸収強度から求めた15-S-hydroperoxyeicosa-5,8,10,14-tetraenoicacids(15-HPETE)の産生量は, 改良FOX法の610nmの吸光度を測定して得られた値とよく一致し, その産生の経時変化も両法でよい相関がみられた. 次に, SLOXについて, フリー型脂肪酸のリノール酸(LA)とエステル型脂肪酸で構成される卵黄PC(EYPC)を基質に用いて両者の反応性を比較検討した. その結果, LAは速やかに酸化されるが, EYPCの酸化は非常に緩やかに進行すること, メタノールや界面活性剤TritonX-100を適量添加してEYPC膜の構造を乱した状態にすると反応が著しく増大すること(同じ処理によってLAの酸化は酵素が構造変化を起こして逆に著しく低下する)などが明らかになった. さらに, LAとEYPCを基質として用い, LOX阻害剤の評価に改良FOX法の適用を試みた. SLOXに対するeicosa-5,8,10,14-tetraenoic acid(ETA)の阻害効果は, 用いたSLOXの量が1000倍異なるにもかかわらず両基質系でほぼ同じ用量依存性阻害がみられ, ETAが競合的阻害剤であることが示唆された. これらの結果は改良FOX法が新しいLOX阻害薬探索にも有用であることを示している.
ISSN:0287-3516