ストレプトゾトシン誘発糖尿病マウスにおける尿中クロム排泄量の増加は腎臓中クロム濃度の低下と負のクロム出納を引き起こす(p.303-308)

クロムは糖代謝に関与する必須微量元素であり, 動物ではクロムが欠乏すると糖尿病様の症状を引き起こす. ヒトや実験動物を用いた研究では, 尿中クロム排泄量が糖尿病において増加することが報告されている. 高血糖による尿中クロム排泄量の増加が臓器中のクロム貯蔵状態を減少するかどうか研究するため, 我々はストレプトゾトシン(STZ)誘発糖尿病マウスを用いてクロム出納と体内のクロム分布を検討した. C57BL雄性マウスは無作為にSTZあるいはコントロール群に分け, STZ投与後7, 14, 21, 28日目に採尿した. ダイナミックリアクションセルを備えた高周波誘導結合プラズマ質量分析装置を用いて, 尿...

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Veröffentlicht in:日本栄養・食糧学会誌 2008, Vol.61 (5), p.242-242
Hauptverfasser: 三田有紀子, 石原健吾, 石黒恵, 武田昌子, 服部麗子, 村上久瑠美, 安本教傳
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:クロムは糖代謝に関与する必須微量元素であり, 動物ではクロムが欠乏すると糖尿病様の症状を引き起こす. ヒトや実験動物を用いた研究では, 尿中クロム排泄量が糖尿病において増加することが報告されている. 高血糖による尿中クロム排泄量の増加が臓器中のクロム貯蔵状態を減少するかどうか研究するため, 我々はストレプトゾトシン(STZ)誘発糖尿病マウスを用いてクロム出納と体内のクロム分布を検討した. C57BL雄性マウスは無作為にSTZあるいはコントロール群に分け, STZ投与後7, 14, 21, 28日目に採尿した. ダイナミックリアクションセルを備えた高周波誘導結合プラズマ質量分析装置を用いて, 尿, 血漿, 臓器中のクロム量を測定した. 投与後28日目のコントロール群およびSTZ群の尿中クロム排泄量はそれぞれ15.4±3.0ng/day, 356±62ng/day, 腎臓クロム濃度はそれぞれ0.85±0.12ng/mg, 0.17±0.03ng/mgとなった(p<0.01). STZマウスのクロム出納は尿中クロム排泄の増加によって明らかに負であった(p<0.01). これらの結果から, STZ誘導糖尿病マウスでは尿中クロム排泄が増加することによって腎臓クロム濃度の減少と負のクロム出納が引き起こされた.
ISSN:0287-3516