日本とベトナムの思春期学生のボディイメージに及ぼす因子に関する研究

日本の思春期学生, 特に女性には過度の「痩せ願望」がある. その背景には, 複雑な社会現象があり, 解決のための対策は容易ではない. 今回の研究は, その対策の糸口をみつけるために, 社会背景の異なるベトナムとの比較研究を行った. 対象者は, 日本とベトナムの中学生(12-15歳)とした. 両国とも各学校から1学年あたり1-2クラスを無作為に抽出した. 参加者数は, 日本人374名(男子196名, 女子178名)とベトナム人714名(男子352名, 女子362名)であった. 対象者の体重と身長を測定し, 満足感, 減量経験についてはアンケートを実施した. 体型に関する質問は, シルエット(si...

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Veröffentlicht in:日本栄養・食糧学会誌 2008, Vol.61 (3), p.137-138
Hauptverfasser: 佐野文美, Duc Son Nguyen Trung Le, Tran Thi Minh Hanh, Phan Thi Ngan Ha, 金田雅代, 村井栄子, 神山久夫, 太田裕美子, 山本茂
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:日本の思春期学生, 特に女性には過度の「痩せ願望」がある. その背景には, 複雑な社会現象があり, 解決のための対策は容易ではない. 今回の研究は, その対策の糸口をみつけるために, 社会背景の異なるベトナムとの比較研究を行った. 対象者は, 日本とベトナムの中学生(12-15歳)とした. 両国とも各学校から1学年あたり1-2クラスを無作為に抽出した. 参加者数は, 日本人374名(男子196名, 女子178名)とベトナム人714名(男子352名, 女子362名)であった. 対象者の体重と身長を測定し, 満足感, 減量経験についてはアンケートを実施した. 体型に関する質問は, シルエット(silhouettes chart)に, 自分の理想, 異性の好み, 自分が考える異性の好みおよび健康的なものにマークしてもらった. 日本人学生の約60%は, 太りすぎが不健康であると思っていた. ベトナム人学生は, 約85%が, 痩せが不健康だと考えていた. 日本人女子の多くは, 自己の体重を過大評価し, 体重に不満を感じており, 78.3%が体重を減らしたいと思っていた. 日本人女子の約30%にダイエット経験があり, 低BMI者でも減量経験者がいた(2.8%). ベトナム人女子は, 日本人女子ほどではないが, やはり実際よりも細い体型を望んでいた. すなわち女子は, 両国とも「自分の理想とする体型」は「健康的な体型」よりもかなり細く, 「自分が考える異性の好む体型」もまた, 「同世代の異性の好む体型」よりもかなり細かった. 一方, 男子では, 日本人はほぼ現状の体型に満足していたが, ベトナム人男子の約半数(46%)が「体重を増やしたい」と考えていた. 以上の結果, 思春期の痩せ願望は, 自分たちの誤った思い込みに影響されている面が強いように思えた. その対策としては, 「健康的な体型とは何かの教育を行うこと」と「自分が望んでいる体型は必ずしも異性が好むものではないこと」を知らせることが有効であると考えた.
ISSN:0287-3516