ロイシンによるラット肝臓および骨格筋の4E-BP1,S6K1のリン酸化の経時変化(p.311-315)

肝臓のタンパク質合成翻訳開始調節への分岐鎖アミノ酸ロイシンの関与を調べるとともに, ロイシンの翻訳開始段階に及ぼす作用の経時変化を肝臓と骨格筋で比較することを目的とした. 翻訳開始因子4E結合タンパク質1(4E-BP1)はリン酸化されることにより翻訳開始因子4E(eIF4E)から解離し翻訳開始を促進することでタンパク質合成を刺激する. 70-kDaのリボソームタンパク質S6キナーゼ(S6K1)のリン酸化は, ある種のリボソームタンパク質と転写開始部位の近くにポリピリミジンクラスターをもつ特定のタンパク質の合成調節に関係していると考えられている. 18時間絶食とした雄ラットにL-ロイシン(135...

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Veröffentlicht in:日本栄養・食糧学会誌 2001, Vol.54 (5), p.322-322
Hauptverfasser: 吉澤史昭, 関澤春仁, 平山祥代, 畠山敦, 長澤孝志, 菅原邦生
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:肝臓のタンパク質合成翻訳開始調節への分岐鎖アミノ酸ロイシンの関与を調べるとともに, ロイシンの翻訳開始段階に及ぼす作用の経時変化を肝臓と骨格筋で比較することを目的とした. 翻訳開始因子4E結合タンパク質1(4E-BP1)はリン酸化されることにより翻訳開始因子4E(eIF4E)から解離し翻訳開始を促進することでタンパク質合成を刺激する. 70-kDaのリボソームタンパク質S6キナーゼ(S6K1)のリン酸化は, ある種のリボソームタンパク質と転写開始部位の近くにポリピリミジンクラスターをもつ特定のタンパク質の合成調節に関係していると考えられている. 18時間絶食とした雄ラットにL-ロイシン(135mg/100g体重)を経口投与して0, 1, 3, 6時間後に屠殺し, 肝臓および骨格筋の4E-BP1およびS6K1のリン酸化状態を調べた. L-ロイシン投与により肝臓においても骨格筋と同様に4E-BP1およびS6K1のリン酸化が刺激された. 4E-BP1およびS6K1のリン酸化の変化は骨格筋の方が肝臓よりも急激で, 血漿ロイシン濃度変化と平行していた. このことから, L-ロイシン経口投与による4E-BP1およびS6K1のリン酸化の1次調節因子は血漿中ロイシン濃度の上昇であることが示され, 更にロイシンに対する感受性には組織特異性があることが示唆された.
ISSN:0287-3516