比例案分法による個人別摂取量の推定精度に関する検討(P.222-227)

国民栄養調査における食物摂取状況調査は, 世帯単位で実施されてきたが, 1995年より個人別摂取量を推定するために, 比例案分法(以下, 案分法)が導入された. 本法は, それ以前の世帯単位の秤量記録法によるデータとの継続性, 比較性を重視したものであり, 個人別摂取量の推定精度に関する検討は十分ではない. そこで, 本研究では, 家庭内において摂取された食事量に関して, 個人別に秤量された値を基準として, 案分法による個人別摂取量の推定値と比較することにより, その精度を検討した. 対象は, 栄養士養成施設の学生32名と, その家族における調理担当者32名である. 各世帯の調理担当者は現行の...

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Veröffentlicht in:日本栄養・食糧学会誌 2001, Vol.54 (4), p.266-267
Hauptverfasser: 岩岡浩子, 吉池信男, 伊達ちぐさ, 島田豊治, 田中平三
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:国民栄養調査における食物摂取状況調査は, 世帯単位で実施されてきたが, 1995年より個人別摂取量を推定するために, 比例案分法(以下, 案分法)が導入された. 本法は, それ以前の世帯単位の秤量記録法によるデータとの継続性, 比較性を重視したものであり, 個人別摂取量の推定精度に関する検討は十分ではない. そこで, 本研究では, 家庭内において摂取された食事量に関して, 個人別に秤量された値を基準として, 案分法による個人別摂取量の推定値と比較することにより, その精度を検討した. 対象は, 栄養士養成施設の学生32名と, その家族における調理担当者32名である. 各世帯の調理担当者は現行の国民栄養調査方式による世帯単位の秤量記録および案分比率の記録を行った. 一方学生は, 調理担当者と学生に分けられた料理の量および残食を個人別に秤量記録した. エネルギーおよび主栄養素の1日当りの摂取量を個人別に算出し, 両者の平均値の比較および相関の強さについて検討を加えた. 案分法から求めたエネルギーおよび主栄養素の摂取量は, 秤量法から得られた摂取量と良好な相関関係(γ=0.90-0.92)を示した. しかし, 2法の平均値の比較では, 案分法による推定値は, 秤量法による実測値に比べて, エネルギーで-94kcal/日(=秤量法による実測値の6.4%)と系統的に過小評価する傾向にあった. また, ごはんのみを抜き出した場合, 案分法による推定値は, 秤量法による実測値よりも系統的に低く, 全料理における過小推定のうち, 約50%がごはんにより生ずることが明らかとなった. "ごはん"の取り扱いについては, 「国民栄養調査必携」の上では, 秤量記録を原則とすることになっているが, 実際には秤量されていない場合が多い. したがって, 国民栄養調査実施の際には, この点を徹底することが精度の向上に役立つものと思われた.
ISSN:0287-3516