飲酒が血漿ホモシステイン濃度に及ぼす影響 (P.171-174)

長期の多量飲酒により高ホモシステイン血症が惹起されることが報告されているが, 比較的中程度の飲酒の血漿ホモシステインに及ぼす影響は明らかでない. われわれはこの点を明らかにするため, 健康成人男性における飲酒と血漿ホモシステインとの関係, さらに比較的中程度の飲酒の習慣をもつ健常成人男性における禁酒の血漿ホモシステインヘの影響について検討した. 236名の健常成人男性において, 飲酒量と血漿ホモシステイン濃度に関連は認められなかった. 比較的中程度(81.8±33.0g/day, mean±SD)の飲酒習慣をもつ健常成人男性32名を4週間禁酒を行う群(禁酒群, n＝19)と飲酒習慣を変えない群(対照群, n＝13)において前後の血漿ホモシステイン濃度を測定したところ, いずれの群においても変化を認めなかった. 禁酒群では, 血清γ-GTP, GOT, トリグリセリド, HDL-コレステロールが有意に低下したが, 対照群ではすべての測定項目において変化を認めなかった. これらの結果から, 今回の検討における程度の飲酒量は血漿ホモシステイン濃度に影響を与えないことが示された.