Note 高脂肪食が非肥満ラットの中枢および末梢組織におけるグルコース取り込みに及ぼす影響 (p.667-673)

われわれはこれまでに, 高脂肪食を摂取させたラットでは, 低脂肪食ラットに比べて, 血漿グルコース濃度が1日を通して高く, また血漿インスリン濃度が1日を通して低くなることを認めた. 本研究では, 上記のメカニズムを明らかにするため, 高脂肪食がラットの中枢および末梢組織におけるグルコース取り込みに及ぼす影響を, 2-deoxy-D-glucose法を用いて調べた. 40匹のSprague-Dawley系雄ラットを, 高脂肪食および低脂肪食を等エネルギー与える方法で4週間飼育した. 体重および体脂肪蓄積量には, 両群間で差は見られなかった. 骨格筋および脂肪組織のグルコース取り込みは, 低脂肪...

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Veröffentlicht in:日本栄養・食糧学会誌 1999, Vol.52 (6), p.414-415
Hauptverfasser: 松尾達博, 岩下聡, 古室真紀, 鈴木正成
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:われわれはこれまでに, 高脂肪食を摂取させたラットでは, 低脂肪食ラットに比べて, 血漿グルコース濃度が1日を通して高く, また血漿インスリン濃度が1日を通して低くなることを認めた. 本研究では, 上記のメカニズムを明らかにするため, 高脂肪食がラットの中枢および末梢組織におけるグルコース取り込みに及ぼす影響を, 2-deoxy-D-glucose法を用いて調べた. 40匹のSprague-Dawley系雄ラットを, 高脂肪食および低脂肪食を等エネルギー与える方法で4週間飼育した. 体重および体脂肪蓄積量には, 両群間で差は見られなかった. 骨格筋および脂肪組織のグルコース取り込みは, 低脂肪食ラットに比べて高脂肪食ラットで有意に低かったが, 肝臓および脾臓におけるグルコース取り込みの能には両群間で差は見られなかった. また, 視床下部および大脳皮質のグルコース取り込みは, 低脂肪食ラットに比べて高脂肪食ラットで有意に高かった. 以上の結果から, 低脂肪食ラットに比べて高脂肪食ラットで, 血漿グルコース濃度が高くなる原因に, 高脂肪食ラットの骨格筋および脂肪組織のグルコース取り込みの低下が関与している可能性が示唆された. また, 高脂肪食による交感神経活性の上昇が, 高脂肪食ラットで血漿インスリン濃度が低下する原因であると推察される. このことは, 視床下部および大脳皮質におけるグルコース取り込みが, 高脂肪食ラットで亢進していることと関係があるのかも知れない.
ISSN:0287-3516