ラットにおける小腸広範囲切除後の残存回腸アポリポタンパク質A-IおよびA-IV遺伝子発現の適応的応答
アポリポタンパク質はコレステロールの輸送, 代謝に中心的役割を担っており, ラットにおいては血漿コレステロールの大部分はHDLに存在し, HDLの主要なアポリポタンパク質であるapoA-IおよびA-IVは小腸と肝臓で合成される. 小腸は適応性の高い臓器であり, たとえば広範囲切除後の残存小腸は構造的機能的な変化を示し, その吸収能を回復するように適応する. しかしながら, 小腸で合成されているアポリポタンパク質が小腸切除に対してどのような応答を示すのかは明らかではなかった. 今回われわれは, 小腸広範囲切除後に残存小腸におけるapoA-IおよびA-IVの遺伝子発現が適応的に増加することを見いだ...
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Veröffentlicht in: | 日本栄養・食糧学会誌 1995, Vol.48 (4), p.327-327 |
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Hauptverfasser: | , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | アポリポタンパク質はコレステロールの輸送, 代謝に中心的役割を担っており, ラットにおいては血漿コレステロールの大部分はHDLに存在し, HDLの主要なアポリポタンパク質であるapoA-IおよびA-IVは小腸と肝臓で合成される. 小腸は適応性の高い臓器であり, たとえば広範囲切除後の残存小腸は構造的機能的な変化を示し, その吸収能を回復するように適応する. しかしながら, 小腸で合成されているアポリポタンパク質が小腸切除に対してどのような応答を示すのかは明らかではなかった. 今回われわれは, 小腸広範囲切除後に残存小腸におけるapoA-IおよびA-IVの遺伝子発現が適応的に増加することを見いだした. Wistar系雄ラット(体重100g)を2群に分け, 1群には小腸広範囲(約85%)切除を, もう1群は偽手術を施した. 手術日を1日目として0, 3, 6, 9, 12, 16日目に尾静脈採血し, 血漿コレステロール, apoA-I, A-IV濃度を測定した. 16日目に屠殺し, 小腸および肝臓をRNA抽出用に採取した. 血漿総コレステロール, HDLコレステロール濃度は酵素法により, 血漿apoA-IおよびA-IV濃度はWestern blottingにより, 小腸および肝臓apoA-I, A-IV mRNAレベルはNorthern blottingにより分析した. 血漿コレステロール, HDLコレステロール, apoA-I, A-IV濃度は3, 6日目に切除群で偽手術群に比べ有意な低値を示し, その後回復した. 切除群の残存回腸におけるapoA-I, A-IV mRNAレベルは偽手術群に比べ, それぞれ約1.2, 3.2倍に増加していた. 一方, 肝臓apoA-I, A-IV mRNAレベルは群間に差はみられなかった. 以上の結果は, ラット回腸は小腸広範囲切除に対してapoA-I, A-IV遺伝子発現を翻訳前の段階で増加させ, そのことが血漿中apoA-I, A-IV濃度の回復の一因となることを示唆している. |
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ISSN: | 0287-3516 |