コレスチラミン投与および胆汁迂回手術によるラット小腸刷子縁膜アミノペプチダーゼ(p.617-625)

小腸腔内の胆汁酸が, 小腸刷子縁膜に存在するアミノペプチダーゼに対していかなる影響を及ぼすかを観察することを目的として, コレスチラミン投与ラット(実験1)および胆汁迂回施術ラット(実験2)を用いて検討した. 実験1において32時間絶食させたラットに標準飼料(25%カゼイン飼料), 6%コレスチラミン添加飼料, および無脂肪飼料を16時間再摂取させた. 標準飼料に比較してコレスチラミン飼料摂取により小腸内容物洗浄液中の総胆汁酸量は著しく低値を示し, またトリプシン, キモトリプシン活性も低下した. 小腸粘膜ホモジネート中のアミノペプチダーゼ比活性はコレスチラミン飼料摂取により低下したのに対し,...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:日本栄養・食糧学会誌 1994, Vol.47 (2), p.155-155
Hauptverfasser: 園山慶, 桐山修八, 仁木良哉
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:小腸腔内の胆汁酸が, 小腸刷子縁膜に存在するアミノペプチダーゼに対していかなる影響を及ぼすかを観察することを目的として, コレスチラミン投与ラット(実験1)および胆汁迂回施術ラット(実験2)を用いて検討した. 実験1において32時間絶食させたラットに標準飼料(25%カゼイン飼料), 6%コレスチラミン添加飼料, および無脂肪飼料を16時間再摂取させた. 標準飼料に比較してコレスチラミン飼料摂取により小腸内容物洗浄液中の総胆汁酸量は著しく低値を示し, またトリプシン, キモトリプシン活性も低下した. 小腸粘膜ホモジネート中のアミノペプチダーゼ比活性はコレスチラミン飼料摂取により低下したのに対し, スクラーゼ, アルカリフォスファターゼの比活性は逆に上昇した. さらに, 無脂肪飼料は小腸内容物洗浄液中の胆汁酸量, 膵酵素活性, および小腸粘膜ホモジネート中の酵素活性に影響を及ぼさなかった. さらに実験2において, 32時間絶食させた胆汁迂回施術ラットおよび偽手術ラットに標準飼料を16時間再摂取させた. 胆汁迂回施術によりコレスチラミン摂取と同様に小腸内容物洗浄液中の胆汁酸量, 膵酵素活性, および小腸粘膜ホモジネート中のアミノペプチダーゼ活性が低下した. 逆にスクラーゼ活性は上昇し, アルカリフォスファターゼ活性は変化が見られなかった. 以上の結果は, 小腸腔内の胆汁酸量の減少により小腸アミノペプチダーゼ活性が低下し, スクラーゼ活性が上昇することを示しており, この胆汁酸欠乏の影響は少なくとも脂質吸収抑制を介したものではないことを示唆している. このことより, 小腸腔内の胆汁酸は膵プロテアーゼによるスクラーゼの分解を促進するが, 逆にアミノペプチダーゼ活性維持に重要であると推測した.
ISSN:0287-3516