ラット肝臓のアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ活性と等電点に及ぼす低分子化合物の影響(p.311-321)
ラット肝臓の細胞質に存在するアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AspATc)活性を調節する物質について調べた. 肝臓細胞質よりAspATcを除去したものに精製したAspATcを添加してインキュベーションを行うと, AspATc活性は失活した. そしてこの失活を起こす物質は, 分子量1,000以下の低分子物質であることを明らかにした. そこでこのような低分子物質を含む分画(YM2)を得, 精製酵素とインキュベーションすると酵素活性は失活し, 2-オキソグルタール酸, または, ピリドキサールリン酸の添加によってある程度の回復をみた. さらに, YM2は酵素活性のみならず, 等電点の低下を引...
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Veröffentlicht in: | 日本栄養・食糧学会誌 1993, Vol.46 (6), p.517-518 |
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Hauptverfasser: | , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | ラット肝臓の細胞質に存在するアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AspATc)活性を調節する物質について調べた. 肝臓細胞質よりAspATcを除去したものに精製したAspATcを添加してインキュベーションを行うと, AspATc活性は失活した. そしてこの失活を起こす物質は, 分子量1,000以下の低分子物質であることを明らかにした. そこでこのような低分子物質を含む分画(YM2)を得, 精製酵素とインキュベーションすると酵素活性は失活し, 2-オキソグルタール酸, または, ピリドキサールリン酸の添加によってある程度の回復をみた. さらに, YM2は酵素活性のみならず, 等電点の低下を引き起こした. そこでまず, YM2に含まれていると思われるアミノ酸について, AspATcに及ぼす影響を検討した. いくつかのアミノ酸は酵素活性の低下を引き起こしたが, 等電点の変化にはつながらなかった. 次に, 糖質の影響を調べるためにグルコースとフルクトースについて検討した. その結果, グルコースはAspATcの失活と等電点にほとんど影響を与えなかったが, フルクトースはAspATcの失活と等電点の低下を引き起こした. また, アポ酵素のほうがホロ酵素よりフルクトースの影響を受けやすいことから, AspATcのPLP結合サイトにフルクトースが結合することが考えられた. アミノ酸分析の結果, AspATcのリジン残基の20-25%はフルクトースによって修飾されていることが判明した. 以上のことはAspATcは生体内においてアミノ酸や糖類似物質によってさまざまな調節がなされていることを示唆するものである. |
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ISSN: | 0287-3516 |