完全静脈栄養施行患者の血清coenzymeQ10値ならびに脂質値(p.1~12)
完全静脈栄養(TPN)施行患者の血清coenzymeQ10(CoQ10)値ならびに脂質値の関連性について検討した. TPN患者は脂質乳剤を使用せず, 1日の経口摂取量が1,000kcal以下の者を選んだ. TPN施行前の患者95名のCoQ10値(μg/ml, M±SD)は0.59±0.35で, すでに健常人108名0.77±0.38に比べ有意に低かった. TPN施行1週間後のCoQ10値は施行前の59%(健常人の45%)に減少し, 以後6週間まで同じレベルであった. したがって, 施行前後のCoQ10値の差は外来性CoQ10に基づく可能性が示唆された. さらにTPN施行患者を消化器系癌患者((...
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Veröffentlicht in: | 日本栄養・食糧学会誌 1986, Vol.39 (3), p.238-238 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 完全静脈栄養(TPN)施行患者の血清coenzymeQ10(CoQ10)値ならびに脂質値の関連性について検討した. TPN患者は脂質乳剤を使用せず, 1日の経口摂取量が1,000kcal以下の者を選んだ. TPN施行前の患者95名のCoQ10値(μg/ml, M±SD)は0.59±0.35で, すでに健常人108名0.77±0.38に比べ有意に低かった. TPN施行1週間後のCoQ10値は施行前の59%(健常人の45%)に減少し, 以後6週間まで同じレベルであった. したがって, 施行前後のCoQ10値の差は外来性CoQ10に基づく可能性が示唆された. さらにTPN施行患者を消化器系癌患者((A)群)23名, その他の癌患者((B)群)41名ならびに癌以外の疾患患者((C)群)31名に分けて施行後の各群のCoQ10値を比較すると, (A), (B)両群のCoQ10値は施行4週間後に(C)群よりも有意に低かった. したがって, TPN施行に伴うCoQ10値の低下は癌患者に著しいものであった. TPN施行中の脂質値は, コレステロール(Chol)が正常下限値より低かったほかは正常域内にあった. しかし, TPN施行に伴うChol値の低下の程度は, CoQ10に見られるほど顕著なものではなかった. また, CoQ10値は, Chol中性脂肪, リン脂質などをはじめとする血清脂質とも正の相関を示したが, それらの回帰式は理論上, CoQ10がこれらの脂質成分よりすみやかに血清から消失することを示した. |
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ISSN: | 0287-3516 |